2021 Fiscal Year Research-status Report
台湾を経由して第三国へ進出する日系食品関連企業の戦略モデル
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21K14931
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
金子 あき子 龍谷大学, 農学部, 講師 (50783841)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日系食品企業 / 食品関連産業 / ゲートウェイ戦略 / オペレーション・システム / 台湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の食品関連企業がこれまで生産拠点にすぎなかったアジア市場でいかに販売拠点を築こうとしているのか、海外市場を新規開拓する際のゲートウェイとして重要な役割を果たす台湾に着目し、その動態をとらえることである。具体的には、①台湾をゲートウェイとして他の国・地域へ進出する際の企業戦略、特に食材調達および人材育成システムに注目し、その実情を企業へのヒアリング調査を通じて明らかにした上で、②戦略モデル(戦略およびその戦略が成功する条件)を構築する。本年度は、台湾で販売を行う日系食品企業3社を対象にオンラインでのヒアリング調査を実施した。また、日系食品企業の進出数や日本産農林水産物の輸入量が多く、日本食品が浸透している点等、台湾との共通点の多い香港における日系企業1社を対象に、オンラインでのヒアリング調査を実施した。次に詳細を述べる。 (1)事例企業の海外進出当時から現在までの経営史や販売状況等に関する情報を収集した。企業戦略の事例と文献資料に基づいて各事例企業が台湾およびその後の海外展開で直面する課題を項目別に整理し、調査票を作成した。 (2)台湾における政府関係機関および貿易統計等の情報を収集し分析した。 (3)台湾進出企業3社および香港進出企業1社に対しヒアリング調査を実施し、調査内容を分析した。 (4)日本農業市場学会および東北農業経済学会で文献調査およびヒアリング調査から得られた研究成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に予定していた文献調査および対象企業に対するヒアリング調査を実施できた。また、その成果の一部を所属学会で報告できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は文献調査および事例企業のヒアリング調査を継続して実施する。具体的には次の4点である。 (1)台湾市場の消費動向と、日系食品企業の進出状況を把握する。前年度に続き、台湾食品市場の動向と現地の嗜好について資料収集を行う。 (2)現地駐在員に対するヒアリング調査を実施する。当初計画では現地でのヒアリング調査を計画していたが、新型コロナウイルスの影響が長引いているため前期はオンラインでの調査を継続し、後期は状況に応じてオンラインもしくは現地での調査を実施する。 (3)ヒアリング調査結果の取りまとめを行う。主に出資形態や企業間の協力といった経営戦略、オペレーション・システム(川端2013)に沿った食材調達システムや人材育成システム、海外市場における応用について事例企業の戦略を整理する。 (4)年次報告、学会における発表を通して研究成果を公表し、報告論文を投稿する。
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Causes of Carryover |
2021年度に予定していた国内調査、国内での学会発表がすべてオンラインでの実施に切り替わることで旅費や学会参加費用等が発生せず使用額の差が生じた。また、2021年度のヒアリングに関しては事例企業との交渉により謝金は発生しなかった。 2022年度は国内調査、国内での学会発表を予定している。また、海外でのヒアリング調査の実施を予定しているが、コロナ禍による影響で海外渡航が困難な場合は、オンラインでのヒアリング調査を実施するとともに、自身で行う予定であった現地の市場調査を現地コーディネーターを雇用して実施する。2021年度の未使用額はこの謝金に充てる。
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