2021 Fiscal Year Research-status Report
転移性脳腫瘍に対する過分割多段階照射の最適な線量投与方法の開発と臨床評価
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21K15548
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丹羽 恵 (宇藤恵) 京都大学, 医学研究科, 助教 (20826028)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 転移性脳腫瘍 / 定位放射線治療 / 多段階照射 / 過分割放射線治療 / 過分割多段階照射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は転移性脳腫瘍に対する定位放射線治療(SRT)において①照射時期を考慮し線量勾配が異なる照射法を組み合わせる多段階照射(Multi-shot Irradiation: MSI)と、②腫瘍と正常組織における亜致死的損傷からの回復の差を利用し短期間で高線量を投与する過分割放射線治療を組み合わせた最適な過分割多段階照射(Hyperfractionated Multi-shot Irradiation: Hyper-MSI)を開発、検証することである。
BEDTpot、LQC、TDFを参考に線量分割を模索した結果、第1日目は辺縁60%、第2・3日目は辺縁70%の線量勾配を用いたHyperMSI 30Gy6分割(1日2回照射)を立案した。HyperMSIと標準法(24Gy3分割、1日1回照射、辺縁70%)と比較するplanning studyを実施した結果、HyperMSIは標準法と比較してターゲットの最大線量、平均線量、最低線量を増加させたが、正常脳の低線量照射体積は増加した。HyperMSIは標準法と比べ線量集中性が悪化しており、その要因として線量勾配の違いがあげられ、辺縁60%よりも辺縁70%が適していると考えられた。よって最適と考えられた辺縁70%の線量勾配は変えずに、1回5Gyと4Gyの異なる処方線量を組み合わせた28Gy6分割(1日2回照射)を試験案として作成した。 しかしながら研究開始時から継続して実施してきた文献の網羅的な解析の結果、1回大線量を用いるSRTの1日2回照射のエビデンスが極めて乏しいことが明らかとなり、現時点においては臨床試験としてHyperMSIを実施するには安全性が懸念された。 上記結果を踏まえ、1日2回照射は用いず、3分割のSRT(1日1回照射)を2期的に実施するStaged-SRTを新たな多段階照射として開発する方向性がよいと考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画では、2021年度ではHyper-MSIにおける最適な照射法の組み合わせ・処方線量を同定し、HyperMSIの臨床試験実施計画書を作成し、倫理委員会へ申請する予定であったが、現時点では試験案の作成段階であるため、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度からは3分割のSRT(1日1回照射)を2期的に実施するStaged-SRTを新たな多段階照射として開発する方針とした。ガンマナイフを用いた1回照射(1日1回照射)を2期もしくは3期に分けて実施するStaged-SRSを先行研究として参考とし、Staged-SRTの最適な時期・処方線量を探索し、試験案を立案する。放射線治療計画装置を用いて試験案の治療計画を作成、評価する。また引き続き転移性脳腫瘍に対するSRTに関する文献の網羅的解析を継続する。 試験案が妥当であると判断した後、臨床試験実施計画書を作成し、倫理委員会へ申請する。倫理委員会での審査を受け承認が得られ次第、臨床試験を開始し、症例を集積する。単発病変に限らず多発病変も臨床試験の対象に含めるが、11個以上の転移性脳腫瘍に対するSRTに関しては現在controversialであるため、個数の上限は10個とする。予定症例数の登録を早期に完了した際は2024年度を待たず解析期間・解析作業に移行する。 2024年度までには予定症例数の登録を完遂し、3ヶ月の観察期間を経て臨床試験の治療成績を解析する。Primary endpointである急性期有害事象発生割合が許容範囲内であるかの確認に加え、secondary endpointとして局所制御率、晩期有害事象発生割合、放射線性脳壊死発生割合、生存率も解析する。解析内容は学会にて発表し、英文誌へ論文投稿する。
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Causes of Carryover |
研究計画において2021年度に倫理委員会新規申請費用を計上していたが、現在、試験案作成段階である。次年度以降に倫理委員会へ新規申請を予定しており、当該助成金を次年度以降に用いる予定である。
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Research Products
(5 results)