2022 Fiscal Year Annual Research Report
中鎖脂肪酸結合分子の機能解析と薬剤耐性白血病への治療応用
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21K15585
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
篠原 悠 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (10787047)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 中鎖脂肪酸 / エネルギー代謝 / 標的分子同定 / 創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、中鎖脂肪酸誘導体は標的分子Xの機能を抑制することでAML細胞の増殖を抑制していることが示唆された。 中鎖脂肪酸誘導体は正常な細胞に対しては増殖抑制効果を示さないことから、分子Xの発現もしくは機能がAML細胞特異的である可能性が示唆された。分子Xの発現をRNAおよびタンパク質レベルで解析した結果、分子XはAML細胞で高発現していることが明らかになった。さらに、分子Xの機能を解析するために酵素活性の測定を行い、AML細胞では分子Xの酵素活性が高く、正常細胞と比較すると約10倍の差があることを明らかにした。また、正常細胞に対して中鎖脂肪酸誘導体を作用させても分子Xの酵素活性阻害は認められなかった。 分子Xの特異的な阻害剤はこれまでに報告がないが、非特異的な競合的阻害剤はいくつか報告されている。そこで、中鎖脂肪酸誘導体とこれらの阻害剤を作用させたAML細胞および正常細胞で分子Xの酵素活性と殺細胞効果を検証した。いずれの化合物もAML細胞特異的に分子Xの酵素活性を阻害し、殺細胞効果を示したが、既報の阻害剤が100 μM以上の濃度で殺細胞効果を示すのに対し、中鎖脂肪酸誘導体は1 μMでも殺細胞効果が認められ、AMLに対する創薬シーズとしてより適していると考えられた。 以上の結果から、中鎖脂肪酸誘導体はAML細胞特異的に分子Xの機能を阻害することで抗白血病効果を示していることが明らかになった。
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