2023 Fiscal Year Annual Research Report
ドライバー遺伝子変異陽性肺癌に抗腫瘍免疫を惹起する新たな癌免疫療法の開発
Project/Area Number |
21K16126
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
堀尾 大介 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (40815635)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ドライバー遺伝子変異・転座陽性肺癌 / 小分子阻害薬 / 免疫チェックポイント分子 / Drug tolerant persisters |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌においては現在9種類のドライバー遺伝子変異・転座が報告されており、それぞれに対する小分子阻害薬が実臨床で使用されている。その中でもEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌(EGFR mutation positive non-small cell lung cancer: EGFR M+ NSCLC)とALK融合遺伝子陽性症例で肺癌の60%を占める肺腺癌の半数以上を占め、肺癌全体の治療成績の向上のためにもこれらの症例の予後のさらなる改善は不可欠である。EGFR M+ NSCLCに対するEGFR Tyrosine kinase inhibitor (TKI)やALK-TKIの奏功率は80%に達するが、完全寛解に到ることはなく、一部にdrug-tolerant persisters(DTPs)と呼ばれる細胞集団が存在し、やがては必ず再増殖する。しかしながら、これらのDTPsは数的には少数であるため、仮にこれらDTPsに対する 有効な抗腫瘍免疫を惹起できるのであれば、「根治」を目指す事も可能と考える。申請者らはEGFR M+ NSCLC細胞やALK融合遺伝子陽性NSCLC細胞を用いた解析で、TKI暴露時には、各種免疫チェックポイント分子(Immune checkpoint molecule: ICM)の発現が上昇する事、特にGalectin-9の発現が強く誘導される事を見出した。また、その誘導経路には転写共役因子YAP/TAZが関わっている事も判明した。ドライバー遺伝子変異・転座陽性肺癌では、癌抗原の少なさから、獲得免疫による抗腫瘍免疫が働きにくいが、本研究でYAP/TAZの制御を介して、TKIによって誘導されてしまうGalectin-9を制御する事で、自然免疫による抗腫瘍免疫の活性化に繋がり、DTPsの根絶を目指す事ができると示唆された。現在、in vivoでの解析を行っている。
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