2021 Fiscal Year Research-status Report
Does physical inactivity during growth increase a risk of developing dementia?
Project/Area Number |
21K17550
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
土橋 祥平 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 博士研究員 (10875264)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 成長期 / 身体不活動 / 狭小ケージ / 高脂肪食 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、成長期、特に発達早期の運動不足が将来的な認知機能に悪影響を及ぼす可能性について検討を行い、その対抗策の基盤となる分子メカニズムの解明を目指すものである。 初年度は,若齢ラットに対する活動制限介入が成年期以降の生活習慣病に起因した認知機能低下を増悪させるかについて検討するため、4週齢のWistar系雄性ラットを対象に,通常食、あるいは総カロリーの約60%を粗脂肪量で占める高脂肪食を摂取させた上で8週間の活動制限介入(4-12週齢) を行った。具体的には、ラットを床面積が通常の半分程度の狭いケージで飼育することでラットの行動範囲を制限し、運動不足を模擬した。その後活動制限を解除し、20週齢まで通常飼育を行った。また研究2年目以降に予定していた活動制限介入の時期の違いによる影響についても同時に検討を行った。通常食摂取群の中で、成長期の前期 (4-8週齢) あるいは後期 (8-12週齢) に活動制限を行う群も設け、同様に20週齢まで通常飼育を行った。その結果、活動制限群の介入中の身体活動量は通常飼育群と比較して約4分の1程度で推移していたことを確認し、高脂肪食摂取単独、あるいは活動制限介入との併用の影響は観察されなかった。成長前期、あるいは後期に活動制限を行ったラットの介入中の平均身体活動量については、通常食飼育介入群の4分の3程度であったが、活動制限介入の時期の違いが身体活動量には影響を及ぼさなかった。また,活動制限介入終了後20週齢までの身体活動量はいずれの群も同程度であったことから、計画通り成長期のみ運動不足となる介入が遂行できたと考えられる。 なおいずれのラットも19週齢の時点で、物体探索行動の習性を利用した認知機能試験を行い、20週齢時に脳組織のサンプリングを行った。今後は認知機能試験時の行動解析に加え,収集した脳組織の生化学的解析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
通常食摂取かつ通常飼育を行うラットは,2年目以降に予定していた活動制限介入の時期の違いを検証する実験でも,同様の条件で実施する予定であったことや,初年度の結果が2年目以降の飼育介入方法に影響を及ぼす可能性は低いと判断したため,2年目に実施する予定であった飼育介入も初年度に実施し,認知機能の評価、および脳組織のサンプリングを行った。飼育介入にエフォートを多く割く必要があったため,全ての行動解析や生化学的解析の完了には至っていないものの,2年間にわたり実施する予定であった飼育介入を1年目で完了出来た点において順調に伸展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目までに実施する予定であった飼育介入を1年目に完了できたので,今後は認知機能試験時に撮影した映像を元にラットの行動解析を進めると共に,採取した脳組織における生化学的解析を進める。本研究では成長期における運動不足が,海馬を始めとした脳組織で後天的なゲノム修飾 (エピジェネティクス) に変化が生じ,それらが将来的な認知機能低下を増悪させるものと予想している。このことから、エピジェネティクス解析を中心としたメカニズムの解明に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度予算の残額では購入予定の消耗品は購入できなかったため、次年度の予算と合わせて今後購入を検討していく予定である。そのため、研究計画の遅れや計画変更を表すものではない。
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