2021 Fiscal Year Research-status Report
Building an Inclusive Auditory VR Environment of Sports and Applying it to Cooperative Learning for Visually Impaired and Sighted People
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21K18485
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
坂尻 正次 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70412963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 淳児 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (30396238)
上田 麻理 神奈川工科大学, 情報学部, 准教授 (70786409)
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80637075)
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Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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Keywords | アダプティブスポーツ / 視覚障害・晴眼 / 音響バーチャルリアリティ(VR) / インクルーシブ体験 / スポーツ聴覚 / ゴールボール / 野球 / バレーボール |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績2021年度は以下の4項目に取り組んだ. 1)視覚障害スポーツを楽しむ・訓練するためのVR環境構築・評価: まずはゴールボール競技を取り上げ,本競技において強化指定を受けている選手・そうでない選手に競技中の聴覚情報利用について調査を行った.その上で,強化指定を受けている選手の方が,よりボールの軌道予測に聴覚情報を用いている一方で,そうでない選手は味方の位置などの把握の際に聴覚情報を用いると報告した.この結果を踏まえ,ゴールボールの競技力向上のために,様々なボール軌道を聴覚情報を基に判断するための音響VR環境を構築した.この際,音源の採取に当たっては,競技状況を模擬した上で,守備者の位置にダミーヘッドマイクロホンを配置して取得した.本システムの訓練効果を強化指定を受けていない選手での訓練効果を調べた結果,ボールの通過方向・その際の自身からの距離の学習効果が確認された.
2)主に晴眼者が行うスポーツにおける聴覚利用状況の検討と訓練のためのVR環境構築・評価: まずは,野球およびバレーボールの2競技を取り上げて検討することとした.野球においては,前年度までに実施したアンケート結果を基に守備位置ごとの打球の音の違いについて主に計測・分析を実施した.さらに,打球音ごとの感じ方の違いについて調査を行い,特にフライ性の強い打球においては,1000 Hz以下の周波数帯域が有意に大きくなる点を示した.バレーボールにおいては,まず競技中の聴覚情報の利用について晴眼の経験者にアンケート調査を実施した.この結果,特に味方のレセプション(サーブレシーブ)およびディグ(スパイクレシーブ)の際に,経験者がより聴覚情報を利用する点が明らかになった.その上で,対人レシーブの場合,複数人での練習の際についての聴覚情報の利用について調査した.結果より,同時に競技を行う人数が多いケースほど聴覚情報が重要になる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画時点では複数の視覚障害スポーツを想定した調査を行おうとしたが,COVID-19感染防止の観点から,一部競技に関する検討が行えなかった.一方で,視覚障害スポーツの中でもゴールボールにおいては,再来年度途中まで行う予定であったシステム評価までを終了することができた.晴眼者向けスポーツにおいても同様の感染防止の観点から,検討できていない競技はあるものの,その分,音響計測・分析を重点的に実施できた.このため,「おおむね順調に進展している」と達成度を評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,計画時点で想定した3課題を引き続き遂行していく.具体的な実施内容は以下を想定している: 1) 視覚障害スポーツを楽しむ・訓練するためのVR環境構築・評価: ゴールボール競技での検討結果については,成果をより洗練するため,論文化を試みる.一方で,ブラインドサッカーおよびサウンドテーブルテニスの2競技についても,訓練用VR環境構築・評価などを進め,音響VRシステムによる効果の一般性について検討していく.
2) 主に晴眼者が行うスポーツにおける聴覚利用状況の検討と訓練のためのVR 環境構築・評価 野球においては,前年度に計測した打球音などについて主観的評価などを行っていく.一方で,バレーボールにおいても,より実践的な競技状況を模擬した上で,聴覚情報の利用状況について明らかにしていく.その上で,音響VR環境としての実装要件を明らかにした上で,実装・評価を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
当初想定していた複数競技での音響VR環境構築に際して,単一競技でしか行えなかった.次年度はこれら複数競技を想定した上での予算利用を図っていく予定である.
この他,当初は学会発表のための旅費を計上したが,COVID-19感染防止の観点から移動が困難であった.一方で,徐々にCOVID-19感染が流行する前の情勢に戻りつつある.このため,次年度に旅費として計上した分を利用していく予定である.
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Research Products
(9 results)