2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the third element of tritium exposure, "decay effect", by molecular simulation
Project/Area Number |
21K19845
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤原 進 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (30280598)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩章 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30311210)
阿蘇 司 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (30290737)
米谷 佳晃 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 光量子科学研究部, 主幹研究員 (80399419)
|
Project Period (FY) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
Keywords | 分子動力学シミュレーション / 反応力場 / トリチウムの壊変効果 / DNAの水和構造 / OHラジカル / Geant4-DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
福島での原発事故において、トリチウム汚染水の処理が社会的関心を集めている。トリチウム被曝では、従来の研究で考慮されてきた直接作用と間接作用に加えて壊変効果が存在するにも関わらず、これまで見落とされてきた。本研究では、トリチウム被曝の第三要素「壊変効果」に着目し、置換トリチウムのβ壊変によるDNA損傷の分子機構を分子シミュレーションにより解明することを目的とする。具体的には、トリチウムの置換部位を特定するための分子動力学(MD)計算とDNAの壊変効果を解析するための反応力場(ReaxFF)MD計算を行った。まず、DNA中のどの水素原子がトリチウムに置換されやすいのかを特定するため、水分子およびOHラジカルのアクセスしやすいDNA反応サイトを効率よく解析する手法の開発を行った。この手法を用いてMD計算を行った結果、水分子とOHラジカルとでは、DNAの糖水素へのアクセシビリティが大きく異なることが分かった。このことは、OHラジカルによる水素引き抜きメカニズムの理解には、分子の形状やアクセス時のOHラジカルの向き、水素引き抜きの反応率などを考慮する必要があることを示唆している。また、トリチウムがヘリウム3に壊変し脱離した後のテロメアDNAの化学構造の変化を解析するため、五炭糖の5’の位置の炭素と共有結合する2つの水素がヘリウム3に壊変されたとして、ReaxFF MD計算を行った。その結果、壊変される水素が増えると共有結合が切断され、テロメア構造が崩れることが確認できた。さらに並行して、DNAの水和構造解析により得られたトリチウムの置換部位に関するデータをGeant4-DNAに実装することにより、間接作用の鎖切断判定条件の妥当性の検討を行った。
|
Research Products
(16 results)