2011 Fiscal Year Annual Research Report
標的遺伝子ノックダウンによる霊長類ヒト疾患モデルの作出
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22240053
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
佐々木 えりか 公益財団法人実験動物中央研究所, 応用発生学研究部, 部長 (70390739)
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Keywords | ノックダウン / II型糖尿病 / インスリンレセプター / マーモセット |
Research Abstract |
1、マーモセットINSRshRNA発現ベクターの構築および評価 インスリンレセプター(INSR)はexon11の選択的スプライシングにより2種類のアイソフォーム、IR-A、IR-Bが存在する。2つのアイソフォームの局在比率には組織特異性があり、完全なINSRノックダウン個体を作出するにはexon11を同定し、アイソフォーム間で共通配列をノックダウン標的配列とする必要がある。22年度までにマーモセットES細胞からIR-Bのクローニングとシークエンスを終えている。23年度には新たに脳、肝臓、骨格筋よりcDNAを作成しINSRをクローニングした。肝臓から得られたクローンはIR-Bのみであったが、脳と骨格筋よりIR-A、IR-Bが得られ、マーモセットINSRのexon11を同定した。INSRのexon11を除いた配列でshRNAをデザインし、発現ベクターのインサートを作製した。 2、マーモセットINSR特異的shRNA発現ベクター導入マーモセット作出 shRNA発現ベクター導入マーモセット作出の為、新施設移転後に動物の性周期の安定化、胚培養の条件設定を行った。また、外科処置時のマーモセットへの導入麻酔法の検討を行った。これまで使用していたケタミンは、覚醒が遅いなどの問題があった。そこで、その代替としてメデトミジン、ミダゾラム、ブトルファノールの鎮静・鎮痛薬の3剤混合投与を検討した結果、従来法よりも安定した麻酔状態が得られたうえ、術後の速やかな覚醒が得られた。 3、マーモセットINSRウェスタンブロット解析の条件設定 最もノックダウン効率のよいshRNA標的配列を選定する為に、タンパクレベルでノックダウンを評価できるウェスタンブロットの条件設定を行った。INSRを発現しているマーモセット肝実質培養細胞を用いて7種類の抗体でウェスタンブロットを行い、1種類のみマーモセットINSRに交差する抗体を確認した。遺伝子改変動物作製後に組織におけるノックダウン評価にもウェスタンブロットを用いる為、肝臓、脳、骨格筋、膵臓の組織由来タンパクでウェスタンブロットを行い、それぞれINSRの発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウェスタンブロットの条件検討、抗体選定が難航した。市販のINSRの抗体の抗原の多くはヒト由来であり、マーモセットに用いた場合、クロスしない、非特異が多いなどノックダウンの効率の比較評価ができる明確な結果が出る抗体を選定するために時間をかけた。マーモセットINSR過剰発現系を作製した他、すでにINSRのノックダウンの系が確立されているラットのINSRのウェスタンブロットの結果をポジコン、ネガコンに置くなど試行錯誤し、最も信頼性のある抗体を選定し、マーモセット個体作製の準備も整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在作製しているshRNA発現レンチウイルスベクターのノックダウン効率をマーモセット培養細胞を用いて評価する。評価法は、平成23年度に確立したノックダウン効率の評価系とDual-Lucife rase Reporter Assayシステムなどを併用する。最もノックダウン効率が高いshRNA発現レンチウイルスベクターを選定できたら、速やかに卵子へ導入を開始し、個体作製へ向けた検討を行う。
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Research Products
(20 results)