2012 Fiscal Year Annual Research Report
標的遺伝子ノックダウンによる霊長類ヒト疾患モデルの作出
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22240053
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
佐々木 えりか 公益財団法人実験動物中央研究所, その他部局等, 研究員 (70390739)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ノックダウン / II型糖尿病 / インスリンレセプター / マーモセット |
Research Abstract |
1.マーモセットINSR shRNA発現ベクターの構築および評価 22年度までに解読したマーモセットINSR塩基配列のAlternative exonであるexon11以外の6か所にshRNAターゲット配列を選定し、GFPをレポーターとしたDoxycycline (Dox) 誘導型shRNA発現レンチウイルスベクターを6種類作製した。作製したベクターをINSR の発現するマーモセット肝臓培養細胞に感染させ、shRNA発現ベクター導入細胞株を作製した。その後、各細胞株をDox添加区と非添加区にて培養し、タンパクを抽出後Western blotting によりINSRの発現を検出した。6種類のshRNA発現ベクター導入細胞株のうち5種類でINSRのKnock Down ( KD ) が見られ、Dox非添加区と比較し、それぞれ38%, 45%, 73%, 56%, 42%の発現抑制が認められた。以上より、73%とマーモセットINSRに対して最も高いKD率を示したshRNA発現ベクターを個体作成用として選定した。 2.マーモセットINSR特異的 shRNA発現ベクター導入マーモセット作出 上記で選定したshRNA発現レンチウイルスベクターを受精卵に注入し、5日間の培養後、レポーター遺伝子GFPを発現した8細胞期以降胚を選別して移植した。本方法は、8細胞期以降のゲノミックアクチベーションが起こった胚においてレポーター遺伝子の発現を確認することで、外来遺伝子の宿主ゲノムへの導入の有無を選別し移植できるため、作出される産仔のほぼ100%がトランスジェニック個体となる。これまでにshRNA発現ベクター導入胚27個を11個体のレシピエントに移植し、2個体の妊娠が確認された。1個体は早期に流産してしまったものの、現在1個体が妊娠継続中であり、心拍も確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでshRNA発現ベクターの作製やWestern blotting に使用する抗体の選定に多くの時間を費やしてしまったものの、24年度中に妊娠個体を作出できた。作製したshRNA発現ベクターによるINSRの発現抑制を肝臓培養細胞に発現している内因性のINSRタンパクレベルで検出されたことや、トランスジェニック個体作出効率の高いレンチウイルスベクター法を用いて妊娠個体を作出できたことから、霊長類において初の遺伝子抑制型の疾患モデルの作出が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
複数匹のfounder個体を確保するため、移植実験は妊娠10個体を目途に今後も継続して行う。24年度に11個体の移植を行っているが、正常妊娠は1個体であり、妊娠率は約9 %と低い。今後妊娠率向上のために、移植頻度を増やす他、ウイルス力価を調整し、胚毒性の低いウイルスインジェクションを行う。また、確実に疾患モデルを作出するために、現在使用しているshRNA発現ベクターの1候補だけではなく、新たに6種類のターゲット配列を設定してshRNA発現ベクターの構築を行っており、今後2ラインでのKD個体作出を行う。
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Research Products
(14 results)