2010 Fiscal Year Annual Research Report
カロリー制限によるミトコンドリアレトログレードシグナルを介した老化制御機構の解明
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22390042
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
下川 功 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70187475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 卓哉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40336152)
森 亮一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30509310)
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Keywords | 老化 / ミトコンドリア / カロリー制限 |
Research Abstract |
本研究は、カロリー制限(CR)によるミトコンドリアの機能変化と引き続く細胞質、核へのシグナル(retrograde signal from mitochondrion-to-nucleus、以下、レトログレードシグナル)の活性化という観点から、ほ乳類の老化、寿命制御機構を解明することである。本年度は、これまでの研究に基づき、ミトコンドリア呼吸鎖複合体IVのサブユニット6B1(COX6B1)遺伝子の過剰発現および抑制細胞を作製し、機能解析を行った。 COX6B1の過剰発現によって、COX活性の増加、ATP産生量の増加や細胞のストレス耐性が増強した。酸化ストレスは予想に反して、軽度ながら増加していた,引き続く実験によって、酸化ストレスに防御的な役割を果たす転写因子Nrf2の発現が亢進していることが示された。一連の結果は、COX6B1の発現増加によるミトコンドリアのエネルギー産生と酸化ストレスの増加が、hormesis効果を誘導し、細胞のストレス耐性を増強していることを示唆している。巨大で複雑な分子構造をとるミトコンドリア呼吸鎖の機能が1個のサブユニットの発現によって制御されていることは、驚くべきことである。さらに、in vitroにおける実験によって、COX6B1の発現をglycogen synthesis kinase 3 beta (GSK3b)が抑制的に制御していることが示唆された。現在、GSKbの発現にたいするCRの影響をマウス組織で検討している。これらの結果は、CRの抗老化効果がミトコンドリア機能制御を介して誘導されていることを示唆している。本年度はさらに、COX6B1の機能をin vivoにおいて解析するために、COX6B1過剰発現マウスの作製を開始した。
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Research Products
(2 results)