2011 Fiscal Year Annual Research Report
カロリー制限によるミトコンドリアレトログレードシグナルを介した老化制御機構の解明
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22390042
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
下川 功 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70187475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 卓哉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40336152)
森 亮一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30509310)
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Keywords | 老化 / ミトコンドリア / カロリー制限 |
Research Abstract |
本研究は、カロリー制限(CR)によるミトコンドリアの機能変化と引き続く細胞質、核へのシグナル(retrograde signal from mitochondrion-to-nucleus、以下、レトログレードシグナル)の活性化という観点から、ほ乳類の老化、寿命制御機構を解明することを目的としている。本年度は、これまでの研究に基づき、Cox6b1の発現を制御する因子としてGlycogen synthase kinase (GSK)-3bとの関係を中心に検討した。GSK3bの阻害剤は、Cox6b1の発現を上昇させた。CRラット肝臓において、実際にGSK3bのリン酸化型(不活化型)が増加していた。以上の結果は、CRがGSK3b系シグナルを抑制することによって、Cox6b1の発現を上昇させ、ミトコンドリアの機能、ストレス耐性を増強していることを示唆している。現在、さらに、GSK3bがCox6b1をリン酸化しているか、Cox6b1とGSK3bの物理的な結合があるか、という点について、ウエスタンブロット、免疫沈降法などを用いて検討している。また、GSK3bの上流のキチーゼの同定も試みている。加えて、Cox6b1の発現増加にともなう呼吸鎖複合体の機能変化を検証している。Cox6b1過剰発現マウスを作製し、現在、動物コロニーを樹立するために、マウスを繁殖している。実験群が整えば、マウス個体を用いた解析を行う予定である。ストレス応答、パーキンソン病モデルを用いた疾患に対する影響などを検討し、最終的には寿命や自然発症性疾患への影響をみることによって、ミトコンドリア機能制御による老化制御シグナルの解析を試みる。老化制御シグナルとして特にSirtuin、FoxO、p53などの分子との関連性を明らかとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞レベルにおける解析と平行して、Cox6b1過剰発現マウスがすでに作製され、現在実験コロニーを樹立中である。H24年度から動物個体レベルにおける表現型解析が可能となり、当初の実験計画にそっておおむね順調に進んでいると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞レベルの研究から、Cox6b1過剰発現マウスを用いた研究を中心に行う。表現型が確認できれば、次にCox6b1ノックアウトマウスの作製へと進展させる。これらの遺伝子改変マウスの寿命集団を作成し、個体レベルにおけるミトコンドリア機能制御と老化の関係明らかにする。
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Research Products
(3 results)