2010 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門ヘミチャネルの病態生理学的役割と分子標的診断・治療
Project/Area Number |
22689005
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
立川 正憲 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 助教 (00401810)
|
Keywords | 血液脳関門 / 脳毛細血管内皮細胞 / ヘミチャネル / パネキシン / コネキシン / トランスポーター |
Research Abstract |
脳梗塞などの病態時においては、循環血液中と脳実質細胞間の物質輸送を制御している血液脳関門の機能が変化することが知られており、これが予後の中枢障害を増悪させる一因である可能性がある。本研究では、「ヘミチャネル(パネキシン又はコネキシン)が、血液脳関門の機能変化に関与している」との仮説に基づき、血液脳関門の実体である脳毛細血管内皮細胞におけるヘミチャネルの役割を解明することを目的とした。ヘミチャネルは、ホモ又はヘテロ多量体を形成して機能することから、まず、どのサブタイプが脳毛細血管内皮細胞に発現するかを明らかにする必要がある。高純度で調整したマウス脳毛細血管及び、血液脳関門のin vitroモデル細胞株である条件的不死化ラット脳毛細血管内皮細胞から、total RNAを単離し、各ヘミチャネル分子の遺伝子発現を解析した。Polymerase chain reaction (PCR)解析の結果、パネキシン1、パネキシン2、コネキシン26、コネキシン30、コネキシン43、コネキシン45の各サブタイプのmRNAに由来するバンドが検出された。従って、血液脳関門には、多様なヘミチャネル分子が発現することが示されたが、これらの分子がどのような割合で多量体を形成するのか、タンパク質レベルでの発現を解析する必要がある。さらに、95%N_2を通気させたグルコース枯渇バッファーを用いて、ヘミチャネル開口の指標である蛍光色素sulforhodamine-101の、ラット脳毛細血管内皮細胞株への取り込みを解析した。その結果、通常条件と比較して、蛍光色素の取り込みが増強され、ヘミチャネル阻害剤によって、その増強は阻害された。以上の結果から、血液脳関門の機能変化の要因として、ヘミチャネルが関与していることが示唆された。
|
Research Products
(4 results)