2011 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門ヘミチャネルの病態生理学的役割と分子標的診断・治療
Project/Area Number |
22689005
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
立川 正憲 東北大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (00401810)
|
Keywords | ヘミチャネル / パネキシン / コネキシン / 脳毛細血管内皮細胞 / 輸送 |
Research Abstract |
脳梗塞急性期に引き起こされる脳虚血の状態では、血液脳関門の実体である脳血管内皮細胞の輸送機能が急激に変化することによって、後の脳障害拡大につながる可能性が指摘されている。本研究では、脳血管内皮細胞の輸送体系変化におけるヘミチャネルの役割とヘミチャネル開口制御因子を明らかにするともに、その分子的実体を解明することを目的とした。脳虚血時には、細胞外のカルシウムイオン濃度が、急速に低下することが知られている。ヒト脳毛細血管内皮細胞株(hCMEC/D3細胞)における蛍光色素(sulforhodamine 101など)の取り込み輸送は、細胞外のカルシウムイオン濃度をゼロにした条件において、コントロールと比較して、時間依存的に有意に増加した。Sulforhodamine 101の取り込みの増加は、情報伝達物質や種々のアミノ酸及び、ヘミチャネルの阻害剤であるカルベノキソロンを共存させることによって有意に阻害された。hCMEC/D3細胞におけるヘミチャネルのmRNAの発現を、Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction法を用いて解析した結果、hCMEC/D3細胞においてパネキシン1及びコネキシン43のmRNA発現が検出された。さらに、ヘミチャネルサブタイプの発現をタンパク質レベルで解析することを目的として、質量分析装置を用いてヘミチャネルサブタイプを検出するための計測系を構築した。以上の結果から、脳虚血時におけるイオンホメオスタシスの破綻に伴って、脳毛細血管内皮細胞のヘミチャネルが開口し、情報伝達物質を含めたさまざまな物質の輸送体系を急激に変化させていることが示唆された。特に、脳血管内皮細胞におけるヘミチャネル開口制御因子として、カルシウムイオンが関与することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳毛細血管内皮細胞を用いたヘミチャネルの解析については、当初の計画通り順調に結果を得た。ヘミチャネル分子単独での機能を明らかにすることを目的とした強制発現細胞株の作製が、宿主細胞の選択に時間を要したため当初計画よりやや遅れをとっている。発現株のクローン選択の目途がついたため、24年度前半で実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた脳毛細血管内皮細胞in vitro実験系の基礎的知見をもとに、臨床サイドの研究者等との共同研究を実施し、病態モデルマウスを用いたヘミチャネルのin vivoにおける関与について明らかにする予定である。さらに、タンパク質・ペプチド工学の専門家と連携し、ヘミチャネル開口制御法の開発への糸口を探る予定である。
|
Research Products
(11 results)
-
-
-
[Journal Article] Amyloid-β peptide(1-40) elimination from cerebrospinal fluid involves low-density lipoprotein receptor-related protein 1 at the blood-cerebrospinal fluid barrier2011
Author(s)
Fujiyoshi M, Tachikawa M, Ohtsuki S, Ito S, Uchida Y, Akanuma S, Kamiie J, Hashimoto T, Hosoya K, Iwatsubo T, Terasaki T
-
Journal Title
J Neurochem
Volume: 118
Pages: 407-415
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-