2023 Fiscal Year Research-status Report
撮影方向と建物のなす角の関係を考慮したSARによる建物の被害状況の解析手法の構築
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22K04145
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
野中 崇志 日本大学, 生産工学部, 教授 (20556336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝香 智仁 日本大学, 生産工学部, 准教授 (60514164)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 合成開口レーダ / 建物被害 / コヒーレンス / 撮影方向 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、将来予想されている大規模地震時における建物の被災域を衛星データより迅速、かつ効果的に抽出することを念頭に、多種多様な衛星データを用いた解析手法の確立を最終目標としている。本年度は、昨年度ALOS-2を用いて実施した熊本地震(2016年に発生)における建物被害率とコヒーレンスの関係に関して得られた結果を踏まえ、以下のように「コヒーレンスと建物被害の関係の評価」を中心に実施した。 熊本地震時の建物被害状況の解析では、使用するセンサの違いによる結果に関する知見を得るため、昨年度のLバンドのALOS-2での解析に続き、今年度はCバンドのSentinel-1を用いて解析を行った。その結果、建物被害率が増加するにつれてコヒーレンスは低下する傾向は見られたが、コヒーレンスにばらつきが見られることを示した。またALOS-2と比較し、Sentinel-1は建物の被害率10%あたりのコヒーレンスが小さく、地区レベルでの建物被害率の評価に使用するのが難しいことを明らかにした。 また熊本地震で得られた知見の妥当性を評価するため、2018年9月に発生した北海道の胆振地方中東部を震源とする北海道胆振東部地震に本手法を適用した。ALOS-2を用いた解析を実施した結果、市町村レベルでは倒壊率とコヒーレンスに負の相関が見られた。一方で、厚真町内の被害状況については熊本地震時の益城町と比較して負の相関は見られたが、弱い相関であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発した手法を北海道胆振東部地震に適用し、現地データを用いてその評価を実施できたことや異なる周波数のセンサで解析を実施し、周波数による結果の違いについて議論できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は2023年に発生したトルコ・シリア地震に手法を適用し、コヒーレンスと建物被害率の関係の評価を行う。広域に被害が発生しているトルコ・シリア地震においては、ALOS-2のScanSARモードを用いて解析を行うことで、これまで事例が少なかったScanSARモードの建物被害情報の取得に関する知見を得る。
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Causes of Carryover |
予定していたデータの購入を行わなかったため、繰越が発生した。次年度の学会発表の旅費等で使用する予定である。
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Research Products
(2 results)