2023 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫に重要なcGASを活性化するZCCHC3の作用機構の解明
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22K06546
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
水口 峰之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (30332662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
帯田 孝之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (30578696)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ZCCHC3 / cGAS / タンパク質 / 自然免疫 / DNA結合 / ゲルシフトアッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
Cyclic GMP-AMP synthase(cGAS)は、細胞質内に存在するDNAセンサーであり、ATPとGTPから2'3'-cyclic GMP-AMP(2'3'-cGAMP)を合成し、cGAS/STING経路を介してI型インターフェロン産生を誘導する。一方、ZCCHC3 は二本鎖DNAに結合してcGASの活性を増強するcGAS制御因子である。本研究では、自然免疫におけるcGASとZCCHC3の役割についての知見を得るために、ZCCHC3とcGASのDNA結合、およびcGASの2'3'-cGAMP産生機構について研究する。
ZCCHC3と一本鎖DNAおよび二本鎖DNAとの結合を調べ、ZCCHC3は二本鎖DNAよりも一本鎖DNAに強く結合することを明らかにした。同様に、一本鎖DNAおよび二本鎖DNAとcGASの結合を調べたところ、cGASも二本鎖DNAよりも一本鎖DNAに強く結合した。先行研究により、一本鎖DNAはcGASを活性化しないことが示されているので、一本鎖DNAの結合はcGASの活性化に必要な構造変化を引き起こさないと考えられた。また、cGASが産生する2'3'-cGAMP量をHPLCで検出して定量化し、2'3'-cGAMPの産生速度を求めた。この実験では、70ヌクレオチドの一本鎖HIV-1 SL2 DNA存在下で2'3'-cGAMP産生速度を調べ、枯草菌由来の二本鎖DNA存在下での2'3'-cGAMP産生速度と比較した。その結果、一本鎖のHIV-1 SL2 DNAによるcGASの活性化は、枯草菌由来の二本鎖DNAによる活性化と比較して著しく弱いことを明らかにした。さらに、G3 Y-form DNAの5'末端と3'末端のグアニンがシトシンに変異すると、cGASとY-form DNAの結合が低下し、cGASの2'3'-cGAMP産生が低下することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ZCCHC3およびcGASが、どちらも二本鎖DNAよりも一本鎖DNAに強く結合することを示すとともに、Y-form DNAによるcGASの活性化が、Y-form DNAとの結合の強さに依存することを示したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
cGASによる2'3'-cGAMP産生がZCCHC3の濃度に依存するかを調べ、どのような条件でZCCHC3がcGASを活性化するのかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、オープンアクセスジャーナルに学術論文を投稿する際の投稿料の支払いが次年度となったためである。また、本研究成果についての学会発表を次年度にしたため旅費の支出がなかったことも影響した。次年度分として請求した助成金と合わせて、論文投稿料と学会発表旅費、ZCCHC3存在下におけるcGASの活性測定で使用する消耗品費として支出する計画である。また、現在準備中の学術論文の英文校正費にも支出予定である。
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Research Products
(1 results)