2023 Fiscal Year Research-status Report
Drug discovery through identification of microbial products against SARS-CoV-2 proteases
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22K06692
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
山崎 学 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (50442570)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | SARS-CoV-2 / 天然物創薬 / メインプロテアーゼ / パパイン様プロテアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではCOVID-19治療薬のバックアップ化合物の創製の起点となる母核構造の提案を目指して、微生物培養液をソースとして、SARS-CoV-2の2種のプロテアーゼを阻害する天然物を同定・最適化することを目的とする。2年目は前年度の成果を受けて、(1)メインプロテアーゼ(Mpro)を阻害するヒット培養液中の活性成分の同定と細胞内での酵素阻害活性の評価、(2)パパイン様プロテアーゼ(PLpro)の培養細胞評価系の構築、および(3)PLproを阻害するヒット培養液中の活性成分の精製を実施した。 (1)前年度に良好なプロファイル(還元条件下でも阻害を維持、同類のシステインプロテアーゼであるカテプシンBに対して選択的)を認めた培養液2種から、KS-502 (Aquastatin類)とPS-990 (Thielavin類)を活性成分として同定した。これらはプロテアーゼ以外の複数の酵素でも阻害効果が報告されており、酵素に非特異的に作用する化合物であると示唆された。他の培養液から同定したChlorothricinもMproに対する阻害作用は非特異的と考えられた。これら同定した化合物に加え、ヒット培養液の活性画分(C18逆相カラムで分取)を細胞評価系(前年度に構築)に供した。その結果、現時点で目的の細胞内のMproを阻害する化合物は見出せていない。 (2)昨年度に構築に至らなかったPLproの細胞評価系について、細胞内にてウイルス遺伝子が不安定なことが示唆された。そこで配列を最適化したプラスミドを293T細胞に導入した結果、NanoLucの切断による発光の低下を認めた。活性中心変異体では発光が維持したことから、PLpro特異的な切断反応の評価系を構築した。 (3)昨年度のスクリーニングで得た19ヒット培養液について、活性成分の同定に向けて溶媒移行性の評価や逆相カラム等による精製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Mproを阻害するヒット培養液については、複数の活性成分についてNMR分析により同定した。しかし、これら化合物は培養細胞内のMproに対しては阻害効果を発揮しなかった。他のヒット培養液の活性画分についても同様の結果を得たことから、現時点で細胞膜透過性を有する有望な化合物は見出せていない。 昨年度に構築困難であったPLpro酵素活性の細胞評価系の問題点を調べたところ、導入したPLpro配列(ウイルス遺伝子に由来)の不安定さと、これに起因する発現量の低下が推察された。そこで配列を最適化したプラスミドを作製した結果、良好なS/N比を示すPLproの培養細胞評価系の構築を達成した。但し、このトラブルシュートと前述のMpro阻害物質の精製・構造決定を進めるにあたって想定外の遅延が生じた。 PLproについては昨年度に得たヒット培養液中の活性成分の精製・構造決定を順次進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に遅れが生じていることから最終年度は方策を修正し、PLproを阻害するヒット培養液に焦点を当てて活性成分の精製・構造決定を加速する。そのために、粗精製の段階で活性画分を細胞評価系(今年度に構築)に供し、細胞内のPLproへの阻害効果を判定する。これにより精製・構造決定を優先するサンプルを取捨選択し、研究進展の効率化に努める。化合物を同定した後、母核構造のユニークさや物理化学的特性等を踏まえてシード化合物を選抜し、誘導体展開に備えた結晶構造解析を試みる。またレプリコン細胞や野生型ウイルス感染細胞での複製阻害効果を検証する。
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Causes of Carryover |
上述のトラブルシュートや活性成分の精製(NMR分析を満たす純度)等に時間を要したため、結果的に購入予定の高額試薬の本年度の使用量が若干減少した。一方、次年度は活性成分の精製や結晶構造解析等で当該試薬の使用量が増える見込みなために、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)