2022 Fiscal Year Research-status Report
脳内微量出血模倣モデルにおける認知症関連蛋白発現機序の解明と制御
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22K16662
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
原 慶次郎 徳島大学, 病院, 特任講師 (60710340)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 外傷性脳出血 / 認知症 / amyloid-β沈着 / タウ・リン酸化タウ沈着 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭部に激しい打撃を受けるボクサー、アメリカンフットボール選手や格闘技選手などにおいて脳損傷を契機として生じる遅発性脳障害は従来考えられていたよりもはるかに多くのコンタクトスポーツ選手において引き起こされる事が明らかになってきている。また、高齢者の転倒事故等による頭部外傷(traumatic brain injury, TBI)を契機として脳内微小出血をきたす場合があり、頭部外傷後の慢性期に認知症関連蛋白が蓄積する可能性が示唆されている。認知症の画像診断も行えるようになってきているが,外傷による脳内微小出血による認知症蛋白発現の機序や経時変化についての検討及び治療の方策はほとんど行われていない。そこで、新たに外傷性脳内微量出血モデルを作製する必要があると考え、独自に外傷性脳内微量出血を模倣したモデルマウスを作製し, 認知症関連蛋白であるamyloid-β、タウ、リン酸化タウの発現の蓄積の影響について検討を行い、これらの蓄積が時間的および部位特異的に蓄積することを見出し、再現性のある外傷性脳出血モデルとして新たに確立し、報告している(J Chem Neuroanat. 2023,130:102258)。 さらに、認知症状が発症慢性期には観察可能となってきていることから、認知症診断への方策のみならず、治療に有用な方策を見出し、臨床へのフィードバックを目指して検討中であり、学内外連携で検討を進める計画でもある。今後、認知症関連蛋白の蓄積及びこれに関与するメカニズムを解明し、認知症状との関連性を明らかにし、これらの制御方策を確立するために、治療候補薬の有効性をモデル動物で実証し、治療標的を解明し、臨床応用の可能性を探求する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自に外傷性脳内微量出血を模倣したモデルマウスを作製し, 認知症関連蛋白であるamyloid-β、タウ、リン酸化タウの発現の蓄積の影響について検討を行い、これらの蓄積が時間的および部位特異的に蓄積することを見出し、再現性のある外傷性脳内微量出血モデルとして確立でき、利用可能となった(J Chem Neuroanat. 2023,130:102258)ことにより、おおむね順調に進展していると評価した。また本モデルにおいて認知症状が観察できたことから、さらに病態解析および認知症状改善の治療方策を検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
再現性のある外傷性脳内微量出血モデルとして確立でき、amyloid-β沈着、タウ・リン酸化タウ沈着見加えて、認知症状が観察できたことから、このモデルを用いてamyloid-β沈着、タウおよびリン酸化タウ沈着のいずれと認知症状が相関するかを明らかにし、これらの制御方策を検討するため、これらの沈着部位および沈着に関わるメカニズムを解析し、沈着タンパクを制御可能な薬物による治療効果を検討する。予備検討では海馬におけるタウおよびリン酸化タウ沈着を確認しており、これらの制御が可能な薬物を用いて認知症状の改善と沈着部位の変化及び脳損傷との関連を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度は研究環境の整備、動物や試薬、器具等の購入が予定より少なく、データの整理、新規実験計画の立案を中心に行ったため、次年度使用額が生じた。 翌年度分として請求した研究費と合わせて、物品費の購入に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)