2011 Fiscal Year Annual Research Report
天然物・生物有機化学を基盤とする創薬標的タンパク質同定効率化法の開拓と応用展開
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23390026
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宍戸 宏造 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20006349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大高 章 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20201973)
伊藤 孝司 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00184656)
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Keywords | 天然物 / 創薬 / 標的タンパク質 / ケミカルバイオロジー / ベイト分子 |
Research Abstract |
1、標的天然物として選択したアスパーギライドA-Cの3種につき、より効率的な合成ルートの探索を行なった。その結果、全工程数の短縮、鍵反応である渡環型オキシマイケル反応の触媒化に成功した。この結果は、今後のケミカルバイオロジー研究において、化合物供給を容易にするものであり、特筆すべき成果を挙げることができた。 2、アスパーギライドA-Cの3種について、各々のエナンチーオマーの合成を行ない、ヒトがん細胞株(RPMI8226:ヒト多発性骨髄腫細胞株、HCT116:ヒト大腸がん細胞株、AZ521:ヒト胃がん細胞株)に対する細胞障害性を評価した。アスパーギライドAおよびBは細胞死を誘導しなかったが、アスパーギライドCに関しては、HCT116において天然型と比較して非天然型エナンチオマーが強い細胞死誘導活性(天然型:102.7μg/mL、非天然型:31.0μ/mL)を示すことが明らかとなった。さらにアスパーギライドC合成中間体についても検討した結果、天然物よりも強い細胞障害活性(ED50%=約10μg/mL)を示す化合物(セコ酸)が見出された。これらは、抗ガン作用をもつ候補化合物となることが期待された。 3、刺激応答型アミド結合切断機能を有する人工アミノ酸を利用し、固相担体からの選択的溶出と続く化学選択的修飾を可能とするターゲットタンパク質捕捉用ラリアット分子の合成について検討した。その結果、ラリアット分子の化学合成に成功した。さらに、ターゲットタンパク質のモデルとしてアルキニル化ペプチドを用い、その捕捉と化学選択的ラベル化を達成した。今後、これら研究成果をターゲットタンパク質の捕捉・ラベル化法へと展開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的天然物の絞り込みができ、さらにより強い活性とシンプルな構造を有する候補化合物を見出すことができた。さらに、研究目的を達成するための基礎研究も順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
アスパーギライドCならびに活性評価研究により見出した合成中間体(セコ酸)を用いて、目的に掲げたケミカルバイオロジー研究を推進し、ターゲットタンパク質の同定をめざしたい。
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Research Products
(92 results)