2012 Fiscal Year Annual Research Report
天然物・生物有機化学を基盤とする創薬標的タンパク質同定効率化法の開拓と応用展開
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23390026
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宍戸 宏造 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任教授 (20006349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 孝司 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00184656)
大高 章 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20201973)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アスパーギライド / 細胞毒性 / ビオチン / 光親和性標識 / クリックケミストリー / 標的タンパク同定 |
Research Abstract |
①. 前年度にヒト大腸ガン細胞に対し細胞毒性活性を示したアスパーギライド C に焦点を絞り、その化合物ライブラリーを用いて詳細な活性評価を実施した。その結果、アスパーギライド C 及び合成中間体3種に高い活性が認められた。また天然型アスパーギライド Cに比べそのエナンチオマーが有意に高い活性を示したことから、これを起点に標的タンパク同定のための分子変換を行なった。まず、天然型アスパーギライド Cおよびそのエナンチオマーをセファロース樹脂に担持させたアフィニティー担体をそれぞれ合成した。あわせて標的候補タンパクの捕捉を目的とし、光親和性標識部位となるベンゾフェノン及び各種機能性部位の導入を可能とする末端アセチレンを組み込んだ2種のミミック分子の合成に成功した。 ②. 外部刺激応答型アミド結合切断機能を有する人工アミノ酸を基盤とする、固相担体からの選択的溶出と引き続く化学選択的修飾を可能とする“標的タンパク捕捉用ラリアット分子”の設計および合成について検討し、そのプロトタイプとなりうる新規分子の合成に成功するとともに、これを用いたモデルタンパク質の捕捉、溶出、および化学選択的修飾に成功した。現在、アスパーギライド C の標的タンパク質同定へ適用可能か検討している状況にある。 ③. ①にて合成したアフィニティー担体をヒト大腸がん細胞株(HCT116)の抽出液で処理し、洗浄後に担体と結合した分子を溶出させた。得られた溶出画分をSDS電気泳動により分離し、銀染色を行った結果、高活性を有するエナンチオマー担持体使用時に増大するバンドが複数検出された。このバンドを切り出した後にトリプシン消化を行い、ペプチド断片を作製してLC-MS/MSとデータベース検索により同定を行った。その結果、幾つかの細胞死に関連するタンパクが同定され、化合物の標的候補タンパクを絞ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的タンパク捕捉用ラリアット分子のプロトタイプとなりうる新規分子を開発し、これを用いたモデルタンパク質の捕捉、溶出、および化学選択的修飾に成功した。これにより、抗がん活性発現におけるアスパーギライドCの標的候補タンパクを絞り込むことができ、細胞死のメカニズムが解明できる状況になった。
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Strategy for Future Research Activity |
標的タンパク質捕捉用ラリアット分子を用いた、アスパーギライド標的タンパクの同定に挑戦するとともに、細胞死のメカニズムを同定する予定である。
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Research Products
(62 results)