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2012 Fiscal Year Annual Research Report

抗がん剤反応性のプロテオーム・メタボローム解析に基づく個別化投薬の新戦略

Research Project

Project/Area Number 23390037
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

谷川原 祐介  慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30179832)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 西 弘二  慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00398249)
西牟田 章戸  慶應義塾大学, 医学部, その他 (00424135)
Project Period (FY) 2011-04-01 – 2014-03-31
Keywords薬剤反応性 / オーダーメイド医療 / がん治療 / メタボローム / プロテオーム
Research Abstract

1)ヒト大腸癌細胞の薬剤応答のメタボローム解析:ヒト大腸癌細胞DLD1とその5-FU耐性株を用い、5-FU曝露後に細胞内で生成する活性代謝物と内因性ピリミジン代謝動態をメタボローム解析した。その結果、5-FUの活性代謝物FdUMPとFUTPの生成は耐性株で著明に低く、TS阻害やRNA合成阻害能が不十分であることが薬剤耐性の一因であることを解明した。
2)ヒト膵癌細胞の薬剤応答のメタボローム解析:ヒト膵癌細胞MiaPaCa-2とそのゲムシタビン耐性株を用い、ゲムシタビン曝露後に細胞内で生成する活性代謝物と内因性ピリミジン代謝動態をメタボローム解析した。その結果、リン酸化体(dFdCMP, dFdCDP, dFdCTP)への活性化反応は耐性株で著明に低下し、内因性核酸代謝に対する影響も小さかった。耐性株ではCTP合成酵素やリボヌクレオチド還元酵素の阻害が効かないことが判明した。
3)CE-TOFMSによる代謝物一斉分析手順の開発:CE-TOFMS法によるヒト血液中の代謝物を一斉分析する方法を開発した。カチオンモード、アニオンモードそれぞれに関して、測定条件の検討、内部標準物質の選定、定量下限、定量性を示す範囲、再現性、S/N比などを検討し、標準分析手順とQuality Controlの手順を設定した。
4)ヒト大腸癌細胞の薬剤応答のプロテオーム解析:オキサリプラチンに対する感受性の異なる複数のヒト大腸癌細胞を用い、感受性株と耐性株とで発現の異なるタンパク質を探索した。二次元電気泳動、SELDI-TOFMSによる発現パターンの比較から特徴的なタンパク質を見い出し質量分析装置で同定した。ウェスタンブロッティングおよびsiRNA法により新規に見い出したタンパク質の発現量と薬剤反応性との相関を検討した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究調書・研究実施計画に記載した計画通り、ほぼ順調に進展している。核酸代謝阻害薬(5-FU、ゲムシタビン)の細胞内リン酸化体は、これまでの技術では測定不可能であったが、本研究で測定可能な新規分析法を確立したことにより核酸代謝動態と薬理作用機序について新たな知見を得た。その結果、癌細胞の核酸代謝阻害薬に対する耐性機序をメタボローム解析で解明できた。
一方で、プラチナ系抗がん薬オキサリプラチンに対する薬剤反応性には複数のタンパク質が関与している可能性を見いだし、プロテオーム解析によって癌の薬剤応答と関連しうるタンパク質を発見した。これは新規発見であるため、知的財産権の獲得に向けて準備中である。

Strategy for Future Research Activity

1)統合的オミックス解析への展開:メタボローム解析によって発見した癌細胞の薬剤耐性機序を検証するために、代謝パスウェイの詳細について解析し、主要な酵素・標的タンパク質の発現(プロテオーム)、遺伝子発現とsiRNAによるノックダウン(トランスクリプトーム)、ゲノム変異解析を駆使し、統合的オミックス解析へ発展させる。薬剤耐性の全挙動を掌握することによって、耐性克服・感受性回復をめざした新たな治療戦略を考案する。
2)臨床検体を用いた検証:癌細胞におけるオキサリプラチンに対する薬剤反応性と相関するタンパク質を同定した後、その簡易な測定法を開発する。オキサリプラチン治療を受けた大腸癌患者68例から得た臨床検体を用いて、上記タンパク質の発現量と治療効果との関係を検討し、薬剤応答予測因子としての性能を評価する。
3)臨床検体の網羅的メタボローム解析:平成24年度に開発したメタボローム分析法によって、大腸癌患者68例の血液試料中の代謝物を一斉分析し、治療経過と各代謝物動態との関連性を精査する。抗がん薬治療への応答性あるいは予後と関連する代謝物を探索することにより、新たなバイオマーカー発見をめざす。

  • Research Products

    (5 results)

All 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] Dose-adjustment study of tamoxifen based on CYP2D6 genotypes in Japanese breast cancer patients2012

    • Author(s)
      Kiyotani K, Mushiroda T, Imamura CK, Tanigawara Y, Hosono N, Kubo M, Sasa M, Nakamura Y, Zembutsu H
    • Journal Title

      Breast Cancer Res Treat

      Volume: 131(1) Pages: 137-45

    • DOI

      10.1007/s10549-011-1777-7

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Blood-direct InvaderPlus as a new method for genetic testing2012

    • Author(s)
      Hirasawa A, Akahane T, Tanigawara Y, Aoki D
    • Journal Title

      Personalized Medicine

      Volume: 9 Pages: 657-663

    • DOI

      10.2217/pme.12.71

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 我が国におけるバイオマーカー研究の現状:Pharmaco-metabolomics for anticancer drugs2012

    • Author(s)
      谷川原祐介
    • Organizer
      第10回日本臨床腫瘍学会学術集会
    • Place of Presentation
      大阪
    • Year and Date
      20120726-20120728
    • Invited
  • [Presentation] Pharmaco-metabolomics of anticancer drugs2012

    • Author(s)
      Y. Tanigawara
    • Organizer
      10th International Conference of the Asian Clinical Oncology Society
    • Place of Presentation
      Seoul (Korea)
    • Year and Date
      20120613-20120615
    • Invited
  • [Presentation] メタボローム解析によるヒト大腸癌細胞の5-FU+オキサリプラチンに対する応答機構の解明2012

    • Author(s)
      津崎盾哉, 西牟田章戸, 谷川原祐介
    • Organizer
      第10回日本臨床腫瘍学会学術集会
    • Place of Presentation
      大阪
    • Year and Date
      2012-07-27

URL: 

Published: 2014-07-24  

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