2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23591624
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
武居 公子 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90325861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上里 博 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10137721)
稲嶺 盛彦 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (90437989)
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Keywords | シグナル伝達 / 有棘細胞癌 / 予後マーカー |
Research Abstract |
皮膚有棘細胞癌のマウスモデル細胞株である低転移株と高転移株を用いたマイクロアレイ解析により皮膚有棘細胞癌の転移のマーカーとなる候補分子を同定した。取得した同意書の宛名が誤っていたことから、再取得のために実験期間を延長せざるを得なかったが、得られた候補分子の発現を転移症例12例、非転移対照症例12例 (新たに転移症例1例、非転移対照症例1例が追加) を用いた免疫染色で解析した結果、ケラチン8/18の発現と皮膚有棘細胞癌の転移が統計的に有意な相関を示した(p=0.0003, Fisher's exact test)。前年度までの報告でケラチン8/18と並んで有力と考えていた候補分子であるVLDLRは有意差が認められなかった。同時にマイクロアレイでは低転移細胞株と比較して高転移細胞株においてマイクロRNAのmir-221/222が高発現であった。マイクロRNAは類似した配列を持つ遺伝子配列の3’非翻訳領域に結合してmRNAを分解したり、翻訳を抑制することにより蛋白発現を制御することが分かっている。有棘細胞癌の転移にmir-221/222が関与している可能性があると考え、マイクロアレイで低転移細胞株と比較して高転移細胞株で発現低下がみられる分子を検索した所、INPP4B, HECTD2, ACVR2B等を含む分子がmir-221/222の標的分子と成りうることが分かった。これらの候補分子について現在免疫染色やin situ hybridizationでの検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
皮膚有棘細胞癌の転移例、非転移対照例の臨床検体の症例数が増え、これらを用いた解析の結果、ケラチン8/18がより有力な候補分子となった。マイクロRNAであるmir-221/222についてはmir-221の解析は終了し、mir-222のin situ hybridizationによる発現解析を引き続き実施中である。候補遺伝子高発現 / 発現抑制細胞の移植動物実験については、発現系 / 抑制系ベクターは完成、これらを用いた移植用癌細胞のin vitroの細胞離散アッセイ、集団遊走アッセイ、浸潤アッセイを準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床検体を用いた検出と細胞レベルでのアッセイで有意な結果を示した分子の高発現系 / 発現抑制系ベクター安定発現株をマウス皮下に接種する。接種部位への原発腫瘍形成の有無、形成された腫瘍の大きさや増大速度、浸潤度を対照株と比較する。転移巣については部位、個数、大きさを肉眼的、病理学的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本学の臨床研究倫理審査委員会により承認され、平成23年度より遂行している研究において、対象となる症例に文書による説明を行ない、平成23年10月までに同意書を得ていたが、システムの変更により、同意書の再取得が必要となった。このため、その間研究を中断せざるを得なくなり、次年度使用額が発生した。 有棘細胞癌の転移例と非転移対照例を対象として、転移・浸潤を促進する候補分子であるマイクロRNAを検出するためのin situ hybridization (ISH)や特異抗体による免疫染色に使用する。具体的にはスライドグラスやカバーグラス、ISH用の標識プローブや試薬、免疫染色用の抗体や抗原賦活化の為の試薬に使用する。
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