2011 Fiscal Year Research-status Report
冷えストレスによる下部尿路症状の解析と臨床応用の検討
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23592364
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西沢 理 信州大学, 医学部, 教授 (60091815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 智明 信州大学, 医学部附属病院, 助教 (30293525)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 冷えストレス / 国際前立腺症状スコア / 過活動膀胱症状質問票 |
Research Abstract |
松本市ウエルネス健康講座「頻尿」を受講された方を対象とした。自己申告に基づいて,冷え性の群,冷え性でない群に分けた。それぞれの群において,身長,体重,腹囲,国際前立腺症状スコア:IPSS(排出障害、蓄尿障害、夜間頻尿回数、生活の質などが含まれる汎用問診表)および過活動膀胱症状質問票:OABSS(排尿回数,失禁とその程度がわかる汎用問診表)にて問診を行った。手足の温度をサーモセンサーを用いて評価した。これらのデータに基づいて下部尿路症状(LUTS)と身体所見の相関性についての検討を行った。冷え性を改善する体操を指導し,2週後に先の項目の再評価を行い比較検討した。肥満度、血圧との関連性については冷え性でない(cold non-sensitive: CNS)群の平均BMI (Body Mass Index)は23.6,平均血圧は120/75 mmHgで,冷え性の (cold sensitive: CS) 群は平均BMI(Body Mass Index)は22.6,平均血圧は123/73mmHgで差は認めなかった。体操前後の手足の温度変化についてはCNS群およびCS群ともに,足が冷えていた。とくにCS群では冷えの程度が強いが,体操によって改善を認めた。また,いずれの所見も左右差は認めなかった。IPSS,OABSSにおける評価では 2週間の生活指導および体操の継続によって,IPSSの中の蓄尿症状の改善がCS群で有意に認められた。トータルスコアでも改善を認めた。また,QOLスコアにおいても改善が認められた。OABSSでは,CS群で改善効果を認める傾向があったが有意ではなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
冷えストレスによる下部尿路症状を有する患者を対象として,国際前立腺症状スコア,過活動膀胱症状質問票,身長,体重,血圧,腹囲についての調査した。これらのデータに基づいて下部尿路症状と身体所見の相関性について検討した結果,冷え性の群で下部尿路症状と足の冷えが体操により改善することが示唆された。治療に結びつく知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
男女での違いなどを症例数を増やして検討する。尿流動態検査(膀胱内圧検査)を施行する患者を対象として,メントールの皮膚への噴霧による切迫性尿意(どうにも我慢ができない感覚)が生じるかどうかや膀胱収縮が起こるかどうかについて検討する。また,レーザー血流計オメガフローにて末梢血流の変化も測定し,尿意の出現との相関性を検討する。過活動膀胱患者を対象とし,下部尿路症状を排尿に関する症状と尿流動態検査などから評価した成績とメントールの皮膚への噴霧に対する反応との相関について検討する。以上から冷えストレスによる排尿筋過活動の機序を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
下部尿路症状と身体所見の相関性および患者の同意のもとに血液・生化学検査を行いコレステロール値、尿中神経成長因子,尿中尿路上皮細胞の蛋白発現などを解析して、同じく下部尿路症状との相関性を検証する。メントールを手に噴霧し、切迫性尿意(どうにも我慢ができない排尿感覚)が生じるかどうかの検討とレーザー血流計オメガフローにて末梢血流の変化も測定し、尿意の出現との相関性についての検討を継続する。さらに,尿流動態検査(膀胱内圧検査)を施行する患者を対象として,メントールの皮膚噴霧による膀胱収縮が惹起するかどうかを検討する。
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