2013 Fiscal Year Annual Research Report
冷えストレスによる下部尿路症状の解析と臨床応用の検討
Project/Area Number |
23592364
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西沢 理 信州大学, 医学部, 教授 (60091815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 智明 信州大学, 医学部附属病院, 助教 (30293525)
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Keywords | 冷えストレス / 国際前立腺症状スコア / 過活動膀胱症状質問票 / セロトニン / 大建中湯 |
Research Abstract |
下部尿路症状をおこす主要臓器である膀胱の尿路上皮に注目し、自律神経系受容体の中でも頻尿治療薬の標的として注目されているα1aおよびα1dアドレナリン受容体、および体温調節などの生理機能に関与しているといわれている神経伝達物質であるセロトニン(5HT)に注目してmRNAの解析を行った。その結果、アドレナリン受容体には変化を認めなかったが、5HT受容体の中では、前立腺肥大症(BPH)群(n=27)および正常群(n=5)ともに5HT2Bおよび5HT7の発現を多く認めた。BPH群と正常群を比較すると、5HT2b、3a、7が、BPH群で有意に発現の増加を認めた。前立腺肥大症によって、体温調整に一部、関連する5HTの尿路上皮に関連する受容体に変化がおこる可能性が示唆された。 また、腹が冷えて痛み、腹部膨満感がある症例に対して使用される大建中湯の冷えによる排尿症状および便秘症に対する臨床効果を検討した。大建中湯の臨床効果は、平均年齢77歳、男性15名、女性5名を対象として行った。大建中湯投与前の冷えと便秘の有無別で3群に分けた各群の国際前立腺症状スコア(IPSS)、QOLスコア、過活動膀胱症状質問票(OABS)、尿流測定による排尿量(Voided Volume)、最大尿流率(Qmax)、平均尿流率(Qave)、超音波測定による残尿量(Residual urine)を検討した。大建中湯投与後のIPSSの総点数は便秘の群で改善した。IPSSの蓄尿症状点数はいずれの群でも改善した。OABSSは、便秘もしくは冷え性の症状のある群で改善を認めた。大建中湯投与前後の尿流測定では、Qmax、Qaveは、便秘のある群で改善し、残尿量も減少した。腹の冷えで使用される大建中湯は、便秘の改善のみならず、冷えおよびそれに伴う下部尿路症状に対して、有用である可能性が示唆された。
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