2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23659114
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松下 正之 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30273965)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 千秋 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (00443664)
|
Keywords | TRPM7 / キナーゼ / チャネル / コレステロール / NASH |
Research Abstract |
既存のキナーゼと一次構造が全く異なるキナーゼファミリーを検索する過程でTRPチャネル構造を持つ遺伝子(TRPM7)を偶然に発見し、そのキナーゼドメインの結晶構造を明らかにし、キナーゼドメインによるチャネルの活性化メカニズムについても報告してきました。これらの研究により、TRPM7キナーゼは自己リン酸化によるチャネル制御よりも新規の基質を持つ可能性が示唆されました。TRPM7の生理機能については、細胞レベルでは鶏B細胞での遺伝子欠損によって細胞内Mg2+の濃度低下が起こるとの報告がなされています(Schmit et al., Cell 2003)。また、ヒトの遺伝学的研究により、同様のドメイン構造を持ったTRPM6については低マグネシウム血症との関係が報告されました (Schlingmann et al., Nat Genet 2002)。私たちは、TRPM7の生理機能およびキナーゼ活性の意義を解明するために、TRPM7キナーゼドメイン内の1アミノ酸置換によってATPへの結合をなくし、キナーゼ活性を全身で不活化した遺伝子変異マウスを作成しました。この変異マウスは正常に発育しますが、脂肪肝などのコレステロール代謝異常を示すことが明らかになりました。この変異マウスに高脂肪食を与えると、肝臓の高度の線維化が起こり非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)様の病態になります。本研究は、近年のメタボリックシンドロームの増加により人口の2~3%が発症すると考えられているNASHの新規病態モデルマウス確立に繋がることが期待されます。
|
Research Products
(2 results)