2012 Fiscal Year Research-status Report
高分子多糖類を用いた新たな塞栓物質の開発と薬剤溶出能の検討
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23791423
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東原 大樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90423186)
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Keywords | インターベンショナルラジオロジー |
Research Abstract |
前年度課題内容の細経型の球状アルギンサン粒子の作成の可否を検討した。1%,1.5%,2%の3種類のアルギン酸ナトリウムを用い、インクジェット方式でビーズ粒子の作成した。顕微鏡で各500個のビーズ粒子を測定した。ビーズ粒子の形状は表面平滑で,球形に近かった。形状は濃度が増加するにつれ,球状から楕円状に近づく傾向でった。今回、粒子径300μmの粒子の作成を試みた。1%濃度:0.254±0.007mm(mean±S.D.)、1.5%濃度:0.265±0.009mm、2%濃度:0.279±0.012mmのサイズであり、各濃度の粒子径に有意差を認め、2%濃度の粒径は有意に大きかった。各濃度のアルギン酸ビーズの粒径は正規分布(尖度=0,歪度=0)に近く、粒度分布はほぼ正規分布を示しており、今回作成手法により、目的サイズの粒子にコントロールが可能であると考えられた。また、2%濃度の粒子は他の濃度のビーズに比べ、有意に大きくなった。これはアルギン酸の濃度が高くなると作成の際に、粒子形状が球形から楕円形に変形したためと推測された。 次に、今年度研究課題であったビーズ粒子の薬剤含有および溶出能について検討した。1%アルギン酸ゲル100ml中に塩酸エピルビシン10mgを混和した10ml溶液を用いて、アルギン酸ビーズ粒子を作成した。作成したビーズ粒子からのエピルビシンの薬剤溶出について、吸光光度計を用い、254nmの吸光波長を計測することにより、薬剤溶出を測定した。エピルビシンの溶出はビーズ粒子より速やかに溶出し、5分後にはビーズ粒子の含有量の約60%程度の溶出を確認した。1時間後には約80%程度が溶出しており、約48時間後でも粒子内に薬剤は含有していると考えられた。今回の作成した、薬剤含有のビーズ粒子は速やかな薬剤溶出が確認できたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、アルギン酸を用いた球状粒子は、300umのサイズの粒子を作成可能であると確認できた。また、薬剤溶出能も確認できたが、今回の実験結果では、溶出時間が非常に速いと考えられた。このためアルギン酸ナトリウムを用いた球状粒子による薬剤溶出ビーズの作成は可能であることが確認できた。今後、動物実験により生体内でのビーズの挙動や生体への反応を評価する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、今年度までの研究結果をもとに、動物実験の予定である。今回の結果により球状粒子の薬剤溶出が非常に速い結果を鑑みて、その臨床的有用性を考慮すると、研究当初の薬剤溶出性球状ビーズを用いた動物実験を行うよりも、この球状ビーズの生体内の物性や挙動の検討および生体的適合性を評価することの方が、現実的であると考えられる。 今後は、これらの項目を中心として動物実験の研究計画を検討中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、動物実験を行うための研究費が主たる使用目的となる。得られた結果の評価・検討のための必要なコンピュータソフトやハードの購入も必要があれば、購入予定とする。えられた結果を必要に応じて、学会報告を予定し、そのための出張費を計上予定である。
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