2013 Fiscal Year Annual Research Report
高分子多糖類を用いた新たな塞栓物質の開発と薬剤溶出能の検討
Project/Area Number |
23791423
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東原 大樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (90423186)
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Keywords | 塞栓物質 / 血管塞栓術 / インターベンショナルラジオロジー |
Research Abstract |
本研究では高分子多糖類であるアルギン酸ナトリウムと塩化カルシウムを架橋させる事により新たな塞栓物質(以下、ビーズ)の開発とその薬剤溶出能の程度および塞栓物質の塞栓能について検討した。平成23年度は球状物質の物性を計測、ビーズ作成の至適条件を検討した。平成24年度に1mm以下の細経型ビーズの作成と、ビーズの薬剤吸収と溶出能を検討するため、抗がん剤の塩酸エピルビシンの溶出能を検討した。最終年度の平成25年度に動物実験によりビーズの生体内における塞栓性、安全性を評価した。 平成24年度までの研究結果で300um程度の球状ビーズは作成可能であり、抗がん剤の薬剤溶出に関しては比較的速やかである結果が得られた。今回の球状ビーズでは薬剤除放性の効果に乏しいと判断し、本年度の動物実験ではビーズによる生体内での動脈塞栓性および生体への安全性評価およびビーズの作成材料のアルギン酸ナトリウム溶液が粘調であることから、アルギン酸ナトリウム溶液の血管塞栓性、安全性を評価することを研究計画に加えた。 ビーグル犬を用いて腎動脈をビーズおよびアルギン酸ナトリウム溶液を用いて塞栓した。塞栓は腎実質の濃染の消失と、血流の停滞が得られるまで注入した。塞栓後、3日後および1週間後に安楽死させ、腎実質の梗塞の程度を評価した。実験の結果、3日後および1週間後でいずれも塞栓領域内に腎の区域性の梗塞様変化が認められた。また、安楽死直前に血管造影を行ったが、塞栓領域の動脈閉塞は認められず、動脈の再開通が認められた。今回の実験結果ではビーズおよびアルギン酸ナトリウム溶液により、実質臓器への塞栓効果および生体での適合性もあることが確認でき、簡便かつ安価に塞栓物質を作成できる可能性が示すことができた。特にアルギン酸ナトリウム溶液はさらに粘性を上昇させることにより、新たな塞栓物質となりうる可能性があることも示唆された。
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