2011 Fiscal Year Annual Research Report
小学校低学年におけるメタ認知的方略測定用具の開発と利用
Project/Area Number |
23909028
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Research Institution | 愛知県岡崎市立矢作東小学校 |
Principal Investigator |
坂本 雄士 愛知県岡崎市立矢作東小学校, 教員
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Keywords | 小学校低学年 / メタ認知的方略 / 測定用具 |
Research Abstract |
本研究は、小学校低学年算数科の問題解決場面における児童のメタ認知的方略の様相を捉えることを目的とした。そして、問題解決過程におけるメタ認知的方略の様相を計量的に捉えるために、測定用具を作成した。小学校低学年用のメタ認知的方略測定用具の作成は、先行研究(清水(1996)など)を参考に質問紙を作成し、小学校経験の豊富な教師との検討や因子分析などを行って、対象単元ごとに3因子構成の6つの質問項目からなる測定用具を作成した。また、測定用具の各因子は、それぞれをメタ認知的方略のコントロール、モニタリング、プランニングに対応させた。 算数科の授業における実践研究の結果、(1)協同解決型の授業を行うことによってメタ認知的方略量は増加する傾向にある、(2)文章問題における協同解決型の授業は、児童の問題把握(モニタリング)に有効的である、(3)授業における非発言者も、授業を発言者と同じように受けることによってメタ認知的方略量が増える場合がある、(4)九九のように暗記(記憶)に関する学習内容では、時間が経過するとともにコントロールとプランニングは使用されなくなる傾向にあるが、モニタリングは使われ続ける傾向にある、(5)メタ認知的方略量が増加することは問題解決能力を高めることにつながる、などの知見が得られた。そして、これらの結果の学校教育への適用ついても考察をした。授業単元に入る前にメタ認知的方略の測定を行うことによって授業設計を考えることができ、また授業の方法や発言者・非発言者の扱い、そして経時に伴う学習内容の定着度にメタ認知的方略量の測定結果を生かすことができるであろうと考えられた。さらにメタ認知的方略量の測定から、より広い視野から児童の学力を見渡すことができるであろうと考えられた。今後の課題として、対象学年の拡充と測定用具の拡充・精緻化、またメタ認知的方略と児童の数学的理解との関係についての検討などが考えられた。
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Research Products
(6 results)