2023 Fiscal Year Research-status Report
不均一かつ多様なミクログリア構成にもとづく脱髄性疾患の新規治療点の解明
Project/Area Number |
23K07334
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
酒井 康成 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10380396)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸山 大樹 九州大学, 大学病院, 助教 (30550850)
加藤 隆弘 九州大学, 医学研究院, 准教授 (70546465)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | ミクログリア / 自然免疫 / ミトコンドリア / 不均一性 / 個人差 / CD14 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミクログリアは、神経炎症性疾患の進行および防御に対して多彩な役割を果たす。炎症状態に対するミクログリアの多様性とそれを支えるメカニズムについては、これまで明らかにされてない。我々は、小児神経炎症性疾患のインビトロモデルを確立するために、血液採取量を最小限に留める方法を探索してきた。今回、成人および小児末梢血単球由来のヒト誘導ミクログリア様(induced microglia-like, iMG)細胞を樹立するために、年齢に応じた最小採血量を設定した。2週間の最適条件でiMGを誘導後、各iMGが自然免疫リガンドに対してどのように応答するかを解析した。iMGPoly-I:Cとリポ多糖(LPS)がIL1BとTNF mRNA発現を活性化した。コントロール群(n = 11)と神経炎症性疾患患者群(n = 24)の間で、iMGの免疫反応性の差は見られなかった。フローサイトメトリーにより、CD14high細胞がLPS刺激後にインターロイキン-1β (IL-1β)を発現することが、明らかになった。免疫ブロット法により、poly-I:CとLPSはiMG内で異なる炎症経路を活性化することが示された。一方、両リガンドは共通してミトコンドリア不安定性とピルビン酸キナーゼアイソフォームM2 (PKM2)の発現を誘導した。さらに、PKM2の強力な活性化剤(DASA-58)は、LPS刺激後のIL-1β産生を減弱させた。本研究を通して、ヒトiMGの多様な免疫反応性は、不均一な細胞集団とミトコンドリアの安定性によって支えられることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、研究成果を英文誌に発表できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の結果を踏まえ、今後さらに細胞間の不均一性を支える分子メカニズムを掘り下げる。とくに単一細胞レベルで、炎症性サイトカイン関連遺伝子の発現レベルの特徴を網羅的に解析し、どのようなiMGサブセットが、どのような反応を示すかを明らかにする。
|
Causes of Carryover |
残金44,917円を次年度に繰り越す。
|
Research Products
(5 results)