2023 Fiscal Year Research-status Report
骨軟部腫瘍に対する免疫療法とゲノム医療を組み合わせた精密個別化医療の研究
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23K08700
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠藤 誠 九州大学, 大学病院, 講師 (40713433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 稔史 九州大学, 大学病院, 助教 (20644800)
鍋島 央 九州大学, 大学病院, 助教 (90908683)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
平滑筋肉腫は四肢や体幹、頭頸部や後腹膜など全身のあらゆる場所に生じ得る悪性軟部腫瘍であり、切除可能であれば手術による外科的切除が有効であるが、切除不能なものに対しては有効な治療方法がなく、特に遠隔転移がある場合は5年生存率が20%を下回り、極めて予後不良である。そのため、転移性平滑筋肉腫に対する新たな治療方法の開発が望まれている。 平滑筋肉腫の肺転移巣を確認すると、原発巣と比べて細胞傷害性T細胞(=CD8+ T細胞)の浸潤が著しく減少していることが明らかとなり、平滑筋肉腫においてもCD8+ T細胞の浸潤が多いと予後が改善する可能性が示唆された。平滑筋肉腫の肺転移でCD8+ T細胞の浸潤が減少する原因を同定するために遺伝子発現解析を行ったところ、肺転移で発現が上昇している上皮細胞接着因子(EPCAM)が関わっている可能性が示唆された。これを検証するため、ヒト平滑筋肉腫細胞株のEPCAMを阻害またはノックダウンし、CD8+ T細胞の遊走に影響があるかを調査した。その結果、EPCAMを阻害した場合とノックダウンした場合の両方で、CD8+ T細胞の遊走が有意に増加した。 以上の結果から、平滑筋肉腫の肺転移では原発と比べてEPCAMの発現が上昇しており、CD8+ T細胞の浸潤を阻害していることが明らかとなり、EPCAMを阻害することでCD8+ T細胞の浸潤は回復し、抗腫瘍効果を発揮して予後を改善することが期待される結果を得た。同内容を英文論文化し、発表した(Kanahori M, Shimada E, Matsumoto Y, Endo M, Fujiwara T, Nabeshima A, Hirose T, Kawaguchi K, Oyama R, Oda Y, Nakashima Y. Immune evasion in lung metastasis of leiomyosarcoma: upregulation of EPCAM inhibits CD8+ T cell infiltration. Br J Cancer. 2024 Apr;130(7):1083-1095.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肉腫におけるがん免疫療法・がんゲノム医療の新規標的の探索において有益な結果が得られており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた研究成果について、研究計画に沿って、より発展させ、研究を進める計画である。
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Causes of Carryover |
研究はおおむね順調に進んでいるが、研究計画にわずかな遅れを認めているため、次年度使用額が発生している。研究の遅れは軽度であり、次年度中に遅れを取り戻 せる計画である。
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