2022 Fiscal Year Annual Research Report
Topological phases in open quantum and classical systems with randomness
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22H01140
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小布施 秀明 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50415121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 亮 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10435951)
羽田野 直道 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70251402)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | トポロジカル相 / 開放系 / 非エルミート / アンダーソン局在 / 臨界現象 / 不規則系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、時間反転対称性があり0,1の2値(Z2)で特徴づけられる点ギャップ・非エルミートトポロジカル相を有する1次元系の量子ウォークモデルを構築し、このモデルの固有値・固有状態について詳細な研究を行った。 また、1次元点ギャップ・トポロジカル相のバルク・エッジ対応を接合系に対し拡張した。点ギャップ・トポロジカル相に対し、エルミート系で知られている接合系に対するバルク・エッジ対応は未解明であった。そこで、接合系における1次元点ギャップ・トポロジカル相のバルク・エッジ対応を明らかにするため、Hatano-Nelsonモデルを接合系に拡張した強結合モデルを導入し、このモデルの固有値・固有ベクトルを解析的に求め、さらに数値的な検証を行った。この研究により、接合系における固有値が現れるスペクトル領域と点ギャップ・トポロジカル数の関係が明らかとなった。 また、GKSL方程式で記述される散逸のある量子系における緩和ダイナミクスにおける非エルミート・トポロジカル相についての研究も行った。本研究により、トポロジカルな性質を変えないシフトした副格子対称性が定義可能であることを示し、10種類より多くの対称性クラスが本系に存在することを明らかとした。さらに、この対称性に起因するトポロジカルなエッジ状態に起因する緩和ダイナミクスを明らかにした。さらに、同様の考えを非エルミート系において重要なPT対称性へ拡張を行った。 さらに、本年度は、不規則系に関する世界最大規模の国際会議Localisation2022を、Co-chairとして北海道大学で開催した。新型コロナウィルスにより外国人の入国が困難な中、約20名の海外参加者を含む50名以上の現地参加者、そして200名以上がオンライン参加し、日々、質の高い講演や活発な議論が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定していたZ2で特徴づけられる点ギャップ・トポロジカル相を持つ量子ウォークモデルの構築だけでなく、多くの系に対し一般的に成立すると期待される接合系における点ギャップ・トポロジカル相のバルク・エッジ対応を明らかにすることができた。 さらに、当初は予定していなかったGKSL方程式で記述される散逸のある量子系における緩和ダイナミクスにおける非エルミート・トポロジカル相に関する研究を行った。本研究により、GKSL方程式の緩和ダイナミクスには、一般に、従来よりも多くの対称性クラスが存在することを示した。 また、Co-chairとして企画・運営した国際会議Localisation2022は、質の高い講演や活発な議論に裏付けられるように大成功で終えた。この成功を受け、次回Localisationを、2024年にドイツで行いたいとの提案を受け、継続開催が決定したことは、本研究会の大きな成果の一つである。 これらの理由から、本研究課題は、当初の計画以上に進展していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
Z2で特徴づけられる点ギャップ・トポロジカル相を有する1次元系の量子ウォークのダイナミクスについて明らかにする。さらに、実験系の構築可能性について議論する。また、2次元系への拡張を検討する。 また接合系における点ギャップ・トポロジカル相のバルク・エッジ対応については、解析的には解けない、より複雑なモデルに対しても、バルクエッジ対応が成立することを明らかにする。また、接合面における局在長についてもより詳細な研究を行なう。 さらに、これらの成果発表に加え、開放系に関する研究コミュニテイの活性化のため、次年度、北海道大学において国際会議Physics of Open Systems and Beyond(POS&BYD)を研究分担者の羽田野と共に主催する。
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Remarks |
(1)科研費を使用して開催した国際会議 Localisation 2022のホームページ
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