2023 Fiscal Year Annual Research Report
Structure-Activity Relationship Study of Maitotoxin Based on Chemical Synthesis
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23H01962
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 徹 九州大学, 理学研究院, 教授 (90241520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐竹 真幸 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90261495)
保野 陽子 九州大学, 理学研究院, 助教 (40736500)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マイトトキシン / 梯子状ポリエーテル / 化学合成 / 構造活性相関 / 生物活性発現機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイトトキシン(MTX)は,食中毒シガテラの原因物質のひとつである。MTXは,32個のエーテル環と98個の不斉中心を有する分子量 3422の巨大な梯子状ポリエーテル天然物である。MTXは,強力なカルシウムイオン流入活性を示すため,カルシウムポンプなどの膜タンパク質が作用標的分子であると考えられているが,MTXは天然から微量しか得られず,現存しているサンプルは極わずかであるため,生物活性発現機構は未解明のままである。本研究では,膜タンパク質との相互作用の解明および生物活性発現機構の解明を目指し,分子量が1500~2000程度のMTXの部分構造の設計,合成,および生物活性の評価を行うことを目的として研究を行った。令和5年度は,各フラグメントの合成中間体であるテトラヒドロピラン誘導体の大量合成をフロー条件で行った。核間ジメチル基を有するW環部,Z環部, E’環部は,タンデムなケトンのメチル化とエステルのDIBALH還元をフロー条件で行うことで,さらに,F環部,I環部,U環部は,エステルのDIBALH還元をフロー条件で行うことで合成した。また,当研究室で開発したフラン誘導体とのカップリングおよびAchmatowicz反応を経由する三環性エーテルの合成法を利用することで,DEF環部およびSTU環部のスケールアップ合成を行った。すなわちF環部から藤原-守谷反応,Sharpless不斉ジヒドロキシ化,Achmatowicz反応,還元的エーテル化,エノンのボリル化/酸化,O,S-アセタールのメチル化を経由することでDEF環部を合成した。また,U環部からWeinrebアミドとフラン誘導体のカップリング,ケトンの不斉還元,Achmatowicz反応,メチルアセタールの化学および立体選択的なメチル化,エノンのボリル化/酸化,環拡大反応,O,S-アセタールのメチル化を経由することでSTU環部の合成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイトトキシン(MTX)の各ビルディングブロックの共通中間体であるテトラヒドロピラン誘導体を効率的に合成するために,マイクロフローリアクターを利用する方法を確立した。この方法を利用することでMTXのF環部とI環部,核間メチル基を有するU環部,および核間ジメチル基を有するW環部,Z環部, E’環部の大量合成に成功した。さらに,当研究室で開発したフラン誘導体とのカップリングおよびAchmatowicz反応を経由する三環性エーテルの合成法を利用して,F環部からDEF環部を,U環部からSTU環部をそれぞれ合成することに成功した。以上,MTXの部分構造を合成するための重要な合成中間体の合成を達成したため,研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,DEF環部からB環部との鈴木-宮浦カップリングを経由してBCDEF環部を合成し,さらにA環部側鎖の導入を経由したABCDEF環部の合成を行う。また,STU環部からAchmatowicz反応を経由する三環性エーテルの合成法を利用することでQRSTU環部の合成を行う。さらに,LM環部およびNO環部の合成を行い,LM環部とNO環部の連結法を確立する。
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