2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24243021
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 二郎 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70143352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 乾 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (00281775)
空井 護 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10242067)
吉田 徹 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (60431300)
渡辺 将人 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (80588814)
木宮 正史 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (30221922)
川島 真 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (90301861)
遠藤 誠治 成蹊大学, 法学部, 教授 (60203668)
高安 健将 成蹊大学, 法学部, 教授 (90399783)
宮本 太郎 中央大学, 法学部, 教授 (00229890)
村上 信一郎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10305675)
杉田 敦 法政大学, 法学部, 教授 (30154470)
小川 有美 立教大学, 法学部, 教授 (70241932)
中北 浩爾 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (30272412)
水野 和夫 日本大学, 国際関係学部, 教授 (10627243)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 政治学 / 民主主義 / 政党 / 比較政治 / 経済政策 |
Research Abstract |
今年度は①日本の政権交代の検証、②東アジアにおける政権交代の比較、③政治転換と政策刷新の連関に関する日欧比較の3つのテーマに即して、研究を進めた。 ①に関しては、日本における2009年の政権交代とその後の民主党政権の展開に関する当事者へのインタビューを継続し、政権運営の実態と政策転換の成否を規定した要因について明らかにした。特に、野田政権時代の外交に関して、リーダーシップと対外関係の改善に関するイニシアティブが発揮された場合とされなかった場合の対比、その要因を明らかにできた。 ②について、12月にソウル大学で政権交代以後の民主政治の変容というテーマで国際会議を開いた。そこでは、日韓両国において「政権交代可能」なシステムの出現によって、政党はかえって競争相手との差異化を強調し、政党システムは遠心化するとともに、リーダーは浮動する選挙民からの支持を得ようとしてナショナリズムなど感情刺激的なシンボルを多用するようになるという同様の変化を経験していることが確認された。政権交代を健全な政党間競争につなぐための条件についてさらに日韓比較の中で考察することが、今後の課題となる。 ③について、イギリス、サウサンプトン大学のジェリー・ストーカー教授を招いて国際会議を開催した。同教授は、現代民主政治における政治的幻滅や失望の分析で著名である。政治変革ついて、変革の意義に関する説得と、変革の可能性や条件、コストに関する現実的な説明の両面を包含したシナリオを提示することが政党やリーダーの任務となる。比較の視座から適度な期待水準を確保するという政治学的言説も必要とされる。 以上のような討議から、政権交代をポピュリズムや無力感につなげないための条件に関する考察を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の第1段階の最大の課題である、日本の政権交代に関する資料、アーカイブ整備と実証研究に関しては、計画通り最初の2年間で作業を進めることができた。関係者へのインタビューは整理、体系化のうえ、近日出版の予定である。これは日本政治の現代史的研究にとって、重要な史料となると思われる。 第1段階のもう1つの課題である東アジアにおける政権交代の比較についても、日韓比較の国際会議を2回開催し、現代韓国政治の研究者とのネットワークを広げ、両国の問題状況に関する認識を共有することができた。 欧米における政権交代の実態調査と比較に関しても、分担者がアメリカ、フランスの事例を調査し、メンバーの研究会で報告を行った。またイギリスから優れた研究者を招へいし、政権交代可能な政治の概念を再検討する作業も進捗している。 このように、研究計画に沿って実態調査や実証研究、理論的考察の深化の両面にわたって、研究活動が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は研究計画の中間年であり、これから1年半程度は次のテーマを重点的課題に据えて、研究活動を推進する。 ①ヨーロッパにおける政治変動と反政治の台頭: ストーカー教授を招いた国際会議でも、反政治感情の高まりとそれを支持基盤とするポピュリズムの問題点は議論のテーマとなった。その後も、ヨーロッパでは極右や民族主義的政党の台頭は続いており、交渉と妥協を基調とする穏健な政党政治への挑戦が続いている。経済的困難が財政制約と政策的選択の狭隘化をもたらす中、政党間の政治的競争がどのような形でありうるのか、政党間で共有すべき政治的価値はどのようなものかを、考察する。これについては、ヨーロッパ各国の研究者による調査、分析を基に、研究分担者全員による討論の機会を増やし、検討を進めたい。 ②健全な外交関係の持続と国内政治の連関: アジアでは安全保障環境の変化が各国の政治に大きな影響を与え、外の「脅威」への対抗という言説が政治を急進化させ、冷静・堅実な政策論議を妨げている。平穏な国際関係の持続と国内政治における穏健な競争という2つのシステムの好循環をもたらすためにどのような条件が必要か、国際政治の研究者と各国政治の研究者の討論を通して考察を進める。 ③野党の政策形成と人材育成に関する比較分析: 政権交代可能なシステムを持続するためには、野党が次の政権獲得の努力を継続し、政策、人材を練磨することが不可欠である。この点について、東アジアと欧米を比較し、政党組織や議会制度のあり方について検討を進める。
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Research Products
(67 results)