2015 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative Research on Alteration and Reflection on Possibility of Democracy
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24243021
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
山口 二郎 法政大学, 法学部, 教授 (70143352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 太郎 中央大学, 法学部, 教授 (00229890)
遠藤 乾 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (00281775)
空井 護 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (10242067)
村上 信一郎 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 名誉教授 (10305675)
水野 和夫 日本大学, 国際関係学部, 教授 (10627243)
杉田 敦 法政大学, 法学部, 教授 (30154470)
木宮 正史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30221922)
中北 浩爾 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (30272412)
遠藤 誠治 成蹊大学, 法学部, 教授 (60203668)
吉田 徹 北海道大学, 法学研究科, 教授 (60431300)
小川 有美 立教大学, 法学部, 教授 (70241932)
渡辺 将人 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (80588814)
川島 真 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90301861)
高安 健将 成蹊大学, 法学部, 教授 (90399783)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 政党政治 / 政権交代 / 民主主義 / 公共政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の最終的とりまとめに向けて、政権交代による政党政治のイノベーション、政策基調の転換という従来の競争的民主主義のモデルの有効性についての考察を深めた。とくに、グローバル化と金融資本主義の隆盛という世界的な潮流の中で、デモクラシーを通した再分配や規制政策の決定・実施が困難になる中で、従来進歩派、リベラル派を支えた労働者・市民層が希望をもって政治参加を続けることがいかにして可能となるか、西欧、アメリカ、日本、韓国の様々な事例の比較を通して考察した。 その中で、市民運動と政党の対話の仕組みを構築すること、両者の往復運動の中で政策アジェンダを形成し、市民の側も現実的な政策評価の準拠枠を形成することの重要性が確認された。他方、大衆の不安・不満を刺激し、その反作用を支持の源泉とするポピュリズムという政治手法が先進国に広く表れつつあることにも留意し、現状変革を求める民意を建設的な政策イノベーションにつなぐためのリーダーシップの在り方や政策のパラダイムについても考察を深めた。 左派、リベラル派の政党の場合、政権についても、経済的グローバル化に伴う様々な制約の中で、政策転換を強力に推進できないことが多く、政権交代の経験がかえって幻滅や失望を強める結果をもたらすケースが欧米と日本に共通している。この逆説を突破するために、市民、とりわけ支持層に対する広義の政治教育、期待水準の引き下げと冷静な評価を求めていくことも重要となる。そうした課題にこたえるためにも、リーダーシップの再構築と開かれた政党運営が必要となることも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本、韓国、アメリカ、西ヨーロッパの主要な民主主義国における政党政治の展開、政党間の競争の実態とグローバリゼーション時代における政党競争の変化に関して、研究分担者による多くの実証的な事例研究が蓄積された。また、比較政治の観点から政党政治のモデルに関しても議論の蓄積が進んだ。西洋、東アジアを通じた広い視野からの比較という本プロジェクトの構想は実を結びつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度に向けて、研究成果を集大成することを目指す。2016年のアメリカ大統領選挙、2017年のフランス大統領選挙という大きな政治的選択の機会に向けてそれぞれの国でどのような政治展開があるか、伝統的な政治主体である政党、政治家の対応と、新しい政治運動の挑戦を観察、分析し、政党政治のモデルがどのように変容しているか追跡する。また、21世紀の経済構造の転換が各国で格差・貧困を広げ、市民の不安・不満が高まっている中で、政党政治がこれにどう対応するか、就中左派、リベラル派の政党、政治家の対応を追跡していく。これによって新たな政党、政策のモデルを考える。
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Research Products
(14 results)