2013 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン様化学物質影響評価のための細胞内新規シグナル伝達経路の解明
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24310050
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
木山 亮一 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 上級主任研究員 (00240739)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エストロゲン / シグナル伝達経路 / 化学物質管理評価 / 環境物質 / 膜共役系 / 受容体 / 遺伝子機能 / 天然物 |
Research Abstract |
本研究では、エストロゲン刺激に伴って細胞内で進むゲノミック経路とは異なる新たなエストロゲン応答カスケードによるシグナル伝達について、small G-proteinの関与を明らかにするとともに、それらが関与する細胞増殖や細胞運動などが関わる生理機能や性分化などを指標にして新規カスケードを明らかにすることを目標にする。さらに、そのようなエストロゲン様応答をする化合物を明らかにすることでエストロゲン製剤や機能性食品などへの応用の可能性を検討する。本年度の成果は、(1)エストロゲン様活性を有するが細胞増殖能は持たない「サイレントエストロゲン」に属する化合物を明らかにし、特許申請を行い、学会発表などを行った。また、(2)シグナル伝達カスケードに関する包括的な検証を行い、いままでエストロゲンとの関与が明らかではなかった遺伝子についても解析が進み、small G-proteinが関与する経路を含めて新しいシグナル伝達経路の関与が明らかになった。また、連携研究者との共同研究により、(3)ラット脳の性分化におけるエストロゲンシグナルカスケードの解析を進めて、細胞運動に関与するPKCδ;/Rac1/PAK1/LIMK1/cofilin経路を明らかにした。今後は、(4)新規シグナル伝達カスケードに関する天然物由来化合物を用いた検証を継続することで、(1)~(3)で得られた基本的なシグナルカスケードに関する情報を統合して、新しいカスケードの探索をおこない、また、これまでに明らかになったカスケードについてはエストロゲン製剤や機能性食品などへの応用の可能性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した解析を問題なく進めることができ、結果もほぼ計画通りに得られ、また、成果の発表もほぼ計画通りに進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれのテーマに関し、低下のように研究を進める予定である。 (テーマ1及びテーマ2)「エストロゲン様化学物質による遺伝子発現プロファイル解析」及び「新規シグナル伝達カスケードに関する検証」(平成25年度で終了):本テーマでは、ビスフェノールAやゼアラレノンによるシグナルカスケードに加えて、細胞増殖シグナルを伝えないが細胞に対してエストロゲン様の遺伝子発現プロファイルを示すような新たなカテゴリーに属すと考えられる化学物質を見出すことができた。これらの知見をもとに、平成26年度はテーマ4において天然物由来の化合物を用いた検証を行う。 (テーマ3)ラット脳の分化におけるエストロゲン応答細胞運動関連シグナルカスケードの解析:脳の性分化に関係するシグナル伝達系として、細胞運動と細胞死に関係するタンパク質に注目して、平成26年度も継続して解析を行う。本研究は、日本医科大学と連携して進める。 (テーマ4)新規シグナル伝達カスケードに関する天然物由来化合物を用いた検証:本項目は平成25年度から開始し、(テーマ1)~(テーマ3)項で得られた基本的なシグナルカスケードに関する情報をさらに複雑な刺激(特に複数の刺激が同時に起る場合)に対して応用が可能かについて、平成26年度も継続して検討する。具体的には、阻害剤を用いたシグナルカスケードの検証を行い、関係するシグナル伝達カスケードを明らかにする。 (次年度の使用計画)エストロゲン様化合物の影響評価のために、遺伝子発現解析のための細胞培養試薬やRNA及びタンパク質解析用試薬などの試薬・消耗品費、シグナル伝達カスケード解析用試薬とその実験を行う研究補助員雇用費を計上する。また、成果発表のために学会発表に関わる旅費、また、論文発表に必要な英文添削費用(外注費)と論文別刷り費用を計上する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、シグナル伝達経路の探索にウェスタンブロッティング法等によりタンパク質の解析などを行っており、平成26年度に様々なタンパク質に関して重点的に解析を予定している。その計画を実行するためにはタンパク質解析の経験を有する高度な技術を有する専門技術者が必要であり、平成26年度に専門技術者の雇用費を計上するために平成25年度から雇用費に相当する分とその技術者が使用する試薬の費用をを繰り越す必要が生じた。 上記の理由により、平成25年度から2,788,580円を繰り越し、雇用費(時給1300円程度の専門技術者)及び消耗品費に使用する。
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[Journal Article] Estrogen-induced cell signaling in the sexually dimorphic nucleus of the rat preoptic area: potential involvement of cofilin in actin dynamics for cell migration.2013
Author(s)
Wada-Kiyama, Y., Suzuki, C., Hamada, T., Rai, D., Kiyama, R., Kaneda, M. and Sakuma, Y.
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Journal Title
Biochem. Biophys. Res. Comm.
Volume: 434
Pages: 287-292
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Distribution and development of P2Y1-purinoceptors in the mouse retina.2013
Author(s)
Rai, D., Ishii, T., Imada, H., Wada-Kiyama, Y., Kiyama, R., Miyachi, E. and Kaneda, M.
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Journal Title
J. Mol. Histol.
Volume: 44
Pages: 639-644
DOI
Peer Reviewed
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