2012 Fiscal Year Annual Research Report
夫婦の関係性向上のためのカウンセリング・プログラム開発
Project/Area Number |
24330197
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中釜 洋子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40272489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 博康 帝塚山学院大学, 人間文化学部, 教授 (80368381)
福丸 由佳 白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (10334567)
田附 あえか 筑波大学, 人間総合科学研究科, 助教 (60550556)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 夫婦 / 関係向上 / カップルカウンセリング / 心理教育 / 文化差 / 移行期 / 子ども / 家族支援 |
Research Abstract |
研究Aにおいては、夫婦(カップル)の葛藤の改善や、パートナーシップの質の向上に資するカウンセリング・プログラムの開発を目的として、1.家族/夫婦療法の先行研究のサーベイ(特に、家族/夫婦療法の効果エビデンスについて)、2.家族/夫婦療法に関するプロセス研究および事例研究、3.家族/夫婦の関係性や問題に応じたカウンセリング・プログラムの検討、4.家族(夫婦)療法の初学者への教育、訓練方法などの研究を行った。また、現代の家族関係を記述するための新たな概念を発見することを目的として、家族関係に不調が生じた事例の収集と検討を行い、併せてこれまでの家族関係に関する概念を整理するために海外及び国内の文献研究を行った。その結果、不和が生じたカップル及び子どもの問題が生じた家族を記述する新たな概念について今後事例を通じて分析することになった。結果として、家族/夫婦療法の諸学派および諸手法のうちいかなるものが、どのような家族/夫婦あるいは個人のどのような問題に有効であるかが改めて検討され、事例研究等を通じて、実際の家族/夫婦療法のどのプロセスが効果的であったかが分析された。 これらに基づいて、家族/夫婦の関係性や問題に応じたカウンセリング・プログラムの開発および家族/夫婦療法の初学者への教育、訓練方法などの検討がなされた。以上の試みは、家族/夫婦関係に臨床心理学の専門的見地から効果的に介入援助するという、我が国の長年来の臨床援助的ニーズに鑑みて意義あるものであり、さらなる家族/夫婦療法の普及や今後の専門家養成訓練等に寄与するものであるといえる。 研究Bにおいては、離婚を経験する家族に向けた心理教育プログラム、FAITの導入に向けて、我が国の状況を把握するための基礎的研究と、プログラム資料の翻訳作業、さらに講師招聘による研修会の実施が今年度の主な成果である。基礎的研究は、前年度から今年度にかけて行った専門家を対象とした調査の結果をまとめた。具体的には、まず、離婚家庭の現状と問題の把握、今後の支援に向けた課題の検討などを目的としたインタビュー調査、2つ目は実際にFAITの研修の中で使用されるDVDを視聴したうえでフォーカスグループを実施し、離婚をめぐる親子への支援プログラムの導入に際して、このような視聴覚教材を用いることの意味や効果について、また教材の内容を踏まえたうえで、配慮すべき文化的・制度的差異について検討を行った。次に、研修資料の翻訳と、その資料に基づいた研修会の開催である。FAITで使用するマニュアル、ワークブックを翻訳し、そのうえで、FAIT(FIT)の開発者であるDr. J. Brown氏を米国から招聘して研修会を実施した。我が国では、法制度上の関係もあり、離婚を経験している家族への支援が必ずしも行き届かない現状があるが、今回の研修を通じて、FAITのような具体的な取り組みが今後、益々求められていることも明らかになった。
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Research Products
(4 results)