2014 Fiscal Year Annual Research Report
人文社会科学系大学教育の内容・方法とその職業的レリバンスに関するパネル調査研究
Project/Area Number |
24330232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本田 由紀 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30334262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱中 義隆 国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (10321598)
中村 高康 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30291321)
小山 治 同志社大学, 商学部, 助教 (50621562)
上西 充子 法政大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80366830)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レリバンス / 大学教育 / 専門分野 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度においては、平成25年度に実施したパネル第1波調査(教育学・法律学・社会学の3分野を専攻する大学3年生対象)の回答者に対し、パネル第2波の調査(大学4年次)を実施した。第2波調査は、就職活動のプロセスと結果およびゼミ・卒論の状況の把握を主眼とする調査内容とした。さらに、パネル第1波調査の回答者数が計画より少なくなったことを補うため、別途インターネット調査により、上記3分野に経済学も加えた4分野の大学4年生に対して調査を実施した。両調査のデータを接合することにより、分析に耐えるサンプルサイズのデータを収集することができた。 また、第1波調査の分析結果を、日本教育社会学会第66回大会において発表した(本田由紀・河野志穂「大学教育の分野別「質保証」に関する実証研究―カリキュラム・教育方法と学生の意識に着目して―」)。発表では、大学3年次前半までの大学教育の内容・方法のあり方が、大学3年秋時点での大学生の能力自己評価や意識に対して及ぼしている影響が、専門分野によって異なることに焦点を当てた。分析結果から、以下の諸点が見いだされた。 法学は、講義中心の伝統的な大学教育プログラムが支配的だが、専門分野の知識・スキルや仕事に有用な知識・スキルを形成しうる教育内容・方法の工夫がさらに必要とされている。 教育学は、学生の参加や議論を重んじる大学教育プログラムを特徴とするが、効果を上げているのは初年次教育でのアカデミックコミュニケーションスキルやPCスキルに関する訓練型の授業や、ゼミでの発表議論や課題探求であり、経験率の高い模擬授業は実は有効性が低いことが、より認識される必要がある。 社会学は、仕事に有用な知識・スキルの自己評価が低いが、実際には初年次でのアカデミックコミュニケーションスキル教育や質的調査、実践スキル形成型の専門教育などが、仕事に有用な知識・スキルの向上に寄与している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
25年度に実施したパネル第1波調査の回答者数の不足を補う方策を26年度に実施し、一定の成果をあげたが、当初計画に匹敵するほどの回復にはいたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度においては、26年度までのパネル調査をさらに第3波として継続するとともに、24年度に実施した調査対象者の追跡調査や経済学分野の大学教員・学生調査を含むインタビュー調査を拡大実施し、各専門分野の職業的レリバンスに関する質的なデータの拡充を計画している。
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Causes of Carryover |
25年度に実施したパネル第1波調査の回答者数が計画を大幅に下回ったため、その回答者を対象とする26年度のパネル第2波調査においても謝礼等を含む調査経費が計画よりも少ない額となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度には計画通りの第3波調査を実施するとともに、インタビュー調査を拡充し、質的なデータの拡充に努める。
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Research Products
(1 results)