2013 Fiscal Year Annual Research Report
スギ木部形成関連遺伝子データベースの構築に向けたEST単離と網羅的発現解析
Project/Area Number |
24380098
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
藤原 健 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 室長 (00353839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 克史 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 主任研究員 (90399379)
山下 香菜 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 主任研究員 (60353900)
井城 泰一 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター, 主任研究員 (40370845)
能勢 美峰 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター, 研究員 (20582753)
栗田 学 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター, 室長 (40370829)
織部 雄一朗 独立行政法人森林総合研究所, 東北育種場, 課長 (40370853)
渡辺 敦史 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10360471)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スギ / EST / 材形成 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
これまで形成層帯由来のESTおよびそれを用いたマイクロアレイを利用して形成層帯における遺伝子発現について解析を行ってきた。今年度において、心材の性質の決定に関連すると考えられる辺材および移行材での遺伝子発現が重要でるとの観点から、心材や辺材および移行材といったすでに形成された木部からのEST情報が必要であると判断し、季節を通じてサンプリングした心材を含む木部から、次世代シークエンサーを用いて数万のESTを収集した。現在、これまでに収集した形成層帯由来のEST情報と本年度収集した木部由来のEST情報を整理し、新たなマイクロアレイの設計を行っている。これと平行して、樹幹加温システムによるサンプルの採取および成熟材/未成熟材のサンプル採取を行っており、26年度はこれらのマイクロアレイを使用した遺伝子発現解析に取りかかる予定である。また、転写因子については木部形成に関与していると考えられている MYBおよびNACのFamilyに属する数遺伝子については完全長を決定しており、これらの機能解析に向けたコンストラクトの作成を進めている。 なお、形成層帯由来のESTの集積および形成層帯活動期のマイクロアレイを使った発現解析については、BMC genomicsに報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にあるESTの取得は、形成層帯、辺材、移行帯、シュート等の異なる器官を対象に進めており、ESTの取得は順調に進んでいる。また、新たに取得したESTを加えたマイクロアレイの設計を行った。辺材と移行材における発現プロファイルの差については、特に心材形成に関連すると考えられる遺伝子の絞り込みを行っている。また、休眠中の形成層に局部的に加温することによって人為的に形成層活動を再開させた場合の木部形成の進行にともなう遺伝子発現プロファイルの解析は、若干の遅れはあるものの、試料の調製まで完了しており、平成26年度において実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、成長期および休眠期のEST情報を複数年にわたり集積してきた。これらのESTは、形成層帯および新生木部のみならず、辺材および移行材からも収集している。これmでに得られたEST情報を整理し、マイクロアレイに集積することにより遺伝子発現プロファイルの解析を行うことができるようになった。また、成長期および休眠期を通じて季節別にマイクロアレイ解析を行っており、詳細な遺伝子発現プロファイルが得られている。これまでに得られているEST情報とマイクロアレイによる発現プロファイル情報を合わせてデータベース化するための整備を行う。 局部加温によって人為的に形成層活動を再開させた場合における発現プロファイルの解析および木材組織の観察による細胞形成ステージの特定は、平成25年度から積み残しとなっており、これをすでに解析を行った自然観環境下で形成層活動が再開した場合との比較により、とくに材形成開始初期の遺伝子発現のフローについて木部形成段階の観察結果と合わせて解析を行う。また、これまで材形成に関連した転写調節因子のESTが得られており、マイクロアレイによる発現プロファイルから機能推定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
冬季に局部加温により人為的に形成層活動を再開させた場合における組織構造の変化と遺伝子発現プロファイルの解析が試料調製の不具合により進行に遅れが生じ、予定していた段階までの解析が進まなかったため途中段階で打ち切らざるを得なかった。試料の調製は完了しており、平成26年度に継続して解析を行う。 顕微鏡観察のための樹脂包埋は完了しているため、光学顕微鏡用切片作成および観察のための消耗品、マイクロアレイ解析のためのアレイチップの購入を行う。
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