2012 Fiscal Year Annual Research Report
DNA二重鎖切断の認識・修復の分子機構に基づく新規戦略による放射線増感剤の創製
Project/Area Number |
24390290
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 義久 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (20302672)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 放射線増感剤 / DNA二重鎖切断修復 / DNA損傷応答 / 蛋白質リン酸化 / DNA-PK / XRCC4 / DNA ligase IV |
Research Abstract |
本研究DNA-PKによるXRCC4のリン酸化を介したタンパク質問相互作用の調節機構を明らかにすること、それを利用した新たな放射線増感剤開発の可能性を探ることを目的としている。平成24年度は従来の研究で同定したリン酸化部位3カ所とその周辺に注目して研究を進めてきた。具体的には、(1)リン酸化部位に結合する分子の探索、(2)リン酸化部位周辺領域の変異体の体系的作製と機能解析を行った。 (1)に関しては、当初、リン酸化および非リン酸化ペプチドをビーズに固定化し、ヒト培養細胞核抽出物と反応させ、結合分子を電気泳動で分離し、質量分析によって同定することを計画していた。この方法では結合分子の同定に至らなかったが、別途、免疫沈降、ウェスタン・プロッティング法により、リン酸化部位周辺領域に結合するDNA修復酵素を見出すことができた。 (2)に関しては、これまでに約15種類の変異体を作製し、XRCC4欠損細胞に導入して放射線感受性を指標とした機能解析を行った。その結果、当該リン酸化部位をアラニンに変えた場合には放射線感受性の上昇が認められたが、アスパラギン酸に変えた場合には放射線感受性の変化が認められなかったことから、電荷の重要性が示唆された。また、リン酸化部位以外のアミノ酸を変えた場合でも放射線感受性が上昇する変異体が一例見つかり、タンパク質問相互作用に重要な役割を担う可能性あるいは他の修飾を受ける可能性が示唆された。それ以外の部位を変えた場合には放射線感受性の上昇が認められなかったが、この事実もリン酸化部位周辺領域の構造機能相関について多くの情報をもたらすものであり、増感剤開発の重要な手がかりとなることが期待される。 更に、従来注目していた領域以外に新たにリン酸化部位の候補が見つかり、XRCC4の新たな機能の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度計画していたリン酸化部位に結合する分子の探索、リン酸化部位周辺領域の変異体の体系的作製と機能解析においては、所期の目標を達成することができた。具体的には、リン酸化部位周辺領域に結合するDNA修復酵素を同定することができ、また、約15種類の変異体を作製、解析し、構造機能相関について多くの情報が得られた。更に、従来注目していた領域以外に新たにリン酸化部位の候補が見つかるという、当初予想していなかった知見が得られ、XRCC4の新たな機能の可能性が示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、従来同定した部位におけるリン酸化を介したタンパク質間相互作用の調節機構を明らかにし、増感剤開発実験を行うとともに、新たに見出されたリン酸化部位候補についても解析を行い、増感剤、あるいは防護剤への応用可能性を探る。
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