2013 Fiscal Year Research-status Report
大学教育における教員と図書館員の連携の構築に関する比較研究
Project/Area Number |
24500293
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
長澤 多代 三重大学, 附属図書館研究開発室, 准教授 (30346944)
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Keywords | 情報リテラシー教育 / 大学図書館の学習・教育支援機能 / 大学教育における教員と図書館員の連携 / 教職協働 / 学習支援 / 教育支援 / 高等教育開発 / ケース・スタディ |
Research Abstract |
本研究の目的は,大学教育における教員と図書館員の連携に関する比較研究の一環で,米国のエッカード・カレッジ及びカナダのクイーンズ大学のケース・スタディによって,次に示す研究課題を明らかにすることである。(1) 大学図書館が実施する学習支援や教育支援において,教員と図書館員はどのように連携しているのか。(2)図書館員の教員に対するアプローチの中で,何が教員と図書館員の連携の構築を促す要因となっているのか。(3)教員と図書館員の連携の構築を促す大学図書館内外の要因は何か。ここで得られたモデルを,米国のアーラム・カレッジ(Earlham College)及びミシガン大学(the University of Michigan),カナダのウエスタン・オンタリオ大学(the University of Western Ontario)のケース・スタディによって明らかにしたモデルと比較分析することによって,大学教育における教員と図書館員の連携についてより汎用性の高いモデルの構築を目指す。 2012年度には,クイーンズ大学で訪問調査を行い,関係者への聞き取り調査,観察調査,内部資料の収集等により関連情報を収集していた。 2013年度には,クイーンズ大学で収集したデータの整理および整理したデータにもとづく関連文献の調査に加えて,エッカード・カレッジの文献調査,関連する概念枠組みに関する文献調査,,比較対象であるケースのデータの分析に重点的に取り組んだ。そのために,2013年度に予定していたクイーンズ大学とエッカード・カレッジの訪問調査を2014年度に見送ることにした。 以上の文献調査や訪問調査によって,両ケースともに,3つの研究課題に関する基本的な情報を得ることができた。これをもとに,2014年度の追跡調査を含む訪問調査の計画を立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は,エッカード・カレッジとクイーンズ大学のケース・スタディによって,各大学のモデルを構築するとともに,これまでの研究で明らかにしたモデルを含む複数のケースを比較して,より汎用性の高いモデルを構築するための最初の手がかりを得ることである。目的を達成するために,次の計画を立てた。①文献調査と訪問調査によって,エッカード・カレッジとクイーンズ大学に関する情報を収集する。②グラウンディッド・セオリーの手法を用いて,それぞれのケース・スタディのモデルを構築する。③テーマ的コード化の手法を用いて,これまでに実施したケース・スタディによって得られたモデルと②のモデルを比較分析する。 2012年度には,クイーンズ大学のケース・スタディとして,①を実施し,ケースに関する基本的な情報を得た。2013年度にも,①を実施し,2012年度の訪問調査で得たデータの整理,整理したデータにもとづく文献調査を進めるとともに,比較対象であるケースの分析を進め,本ケースを分析するための枠組みを得た。 全体の研究計画における2013年度の達成度については,「やや遅れている」と評価した。その理由は主に2つある。1つ目は,クイーンズ大学に関する情報について,情報量が多く,整理に時間がかかったり,更なる関連文献の調査に時間がかかったりしているために,これらの作業に集中したほうがよいと考え,2013年に予定していた追跡調査による情報収集を2014年度に見送ったことにある。2つ目は,エッカード・カレッジに関する情報収集について,文献調査を実施したが,訪問調査によるデータ収集については,クイーンズ大学と同時期に実施するほうが予算面で効率がよいと考えて,2014年度に見送ったことにある。 以上のように,文献調査によって豊富な情報を得られたものの,訪問調査を実施できなかったために,「やや遅れている」と評価をした。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度には,クイーンズ大学とエッカード・カレッジにおいて,それぞれ2回の訪問調査を実施する。1回目は2014年9月頃,2回目は2015年2月頃を予定している。エッカード・カレッジでは,学習支援を担当する図書館関係者への聞き取り調査,学習支援関係のセッションの観察調査を行う。これに加えて,エッカード大学の学習支援や教育支援に大きな影響を与えた元図書館長に聞き取りを行う。追跡調査となるクイーンズ大学では,工学研究科において,図書館員及び教員への聞き取り調査,学習支援関係のセッションの観察調査を行う。また,医学研究科のカリキュラム改革に携わった図書館員への聞き取り調査(2012年度の追跡調査),全学の図書館員のための研修を担当している教育学研究科の図書館員への聞き取り調査(2012年度の追跡調査)を中心に行う。 研究計画書では,申請時の計画が計画どおりに進まない場合であっても,2014年度までに情報収集を追え,2015年度以降に情報を分析し,成果を公表するとしていた。2014年度には,2つのケースについて記述的ケース・スタディの下書きを作成しながら,必要な情報を収集することに重点を置いて進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた主な理由は2つある。ひとつめの理由は,2013年度には,クイーンズ大学で収集したデータの整理と整理したデータにもとづく関連文献の調査に加えて,両ケースの文献調査,関連する概念枠組みに関する文献調査,比較対象であるケース・スタディのデータの分析に重点をおいて作業を進めたために,それらの作業に多くの時間と労力を必要とした。そのために,2013年度に予定していたクイーンズ大学とエッカード・カレッジの訪問調査を2014年度に見送ることにし,予定していた交通費を使用しなかったことがある。ふたつ目の理由は,2014年8月に刊行が予定されている図書館情報学の専門事典が約45万円するために,購入の有無については未定だが,2013年度と2014年度の物品費をあわせて購入できる可能性を残したことがある。 2014年度には,クイーンズ大学およびエッカード・カレッジの訪問調査を2回に分けて行う。1回目は9月後半から10月初頭までのあいだに行い,帰国後に2回目の調査に備えて収集したデータを整理し,2回目は2月の後半から3月の前半までのあいだに行う予定である。 データ分析やデータの公表(研究発表や論文の作成)に役立てるために,8月に出版が予定されている図書館情報学の専門事典について,購入を検討する。他に,国内外の図書館情報学の研究者との研究打ち合わせのための交通費,発表した論文の抜刷の購入と国内外の関係者(図書館情報学の研究者,高等教育論の研究者)への送付のための物品費や郵送費,抜刷の梱包作業のための人件費として用いる。
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