2014 Fiscal Year Annual Research Report
水素貯蔵合金から放出される活性水素を利用した低侵襲型ピンポイント癌治療法の開発
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24500512
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
香川 明男 長崎大学, 工学研究科, 教授 (00093401)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水素吸蔵合金 / パラジウム / ニッケル / 鉄 / 癌細胞 / 正常細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pd-Fe系水素吸蔵合金はPd-Ni合金より生体適合性が優れており,Pd-3~7at%Fe合金はFe濃度の増加とともに水素吸蔵量、吸蔵速度が減少し,短時間側での放出速度はFe濃度によらずほぼ等しいことがわかった。細胞実験においては,Pd-7at.%Fe 合金試料を設置後48時間経過した癌細胞(HeLa)の生存率は約72%、と正常細胞(MDCK)の生存率は約37%であった。合金試料周囲約1.5 mmの範囲でHeLaの死滅が確認されたが,MDCKも培養容器から剥離して死滅(アノイキス)していることがわかったアノイキス対策として,あらかじめ大気中に60分間水素を放出したPd-7at.%Fe合金試料を細胞に設置したところ,HeLaへの死滅効果を失わずMDCKの剥離を抑えることが出来た。また,Pd-5at.%Fe合金を設置して,48時間後の生存率を測定した結果,あらかじめ水素を放出させずに細胞上に設置してもMDCKは死滅せず,HeLaの生存率はPd-7at.%Fe合金より低くなった。以上より,Pd-Fe合金を用いて癌細胞を選択的に死滅させる組成はPd-5at.%Feであり,正常細胞に影響を与えず,癌細胞のみを死滅させることができることがわかった。上記の癌治療用HSA試料を患部へ誘導するためのマイクロアクチュエータにおいては,ポリマーチューブの利用とシリコーンコーティングによるカプセル化を検討した。ポリマーチューブにHAS試料5枚を積層させた場合はポリマーチューブの変形抵抗に比して水素2気圧下での変形の駆動力は不十分であることがわかった。一方,シリコーンコーティングによるカプセル化アクチュエータは2気圧下で試料の変形は得られたが,シリコーンカプセルの膨張が起こり,曲げ変形を阻害することがわかった。
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Research Products
(2 results)