2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500773
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
久保山 直己 大阪商業大学, 総合経営学部, 准教授 (00412718)
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Keywords | 中枢疲労 / NIRS / 最大筋力 / 疲労困憊 |
Research Abstract |
本研究は、動的運動中に生じる中枢疲労を解明することである。当初の研究計画では、本年度は脳血液動態測定時の頭部皮膚血流の影響を除去する方法を確立することであった。しかし、来年度の研究予定であった実験にも着手できた。 まず本年度の主研究はNIRS(近赤外線分光法装置)での測定時に頭蓋血流の影響を削除する方法を確立し、脳組織のみの活動を正確に測定することに取り組むことであった。現存するNIRSのプローブは1つの送光部と1つの受光部(送受光部間は通常3-4cm程度)から構成されている。そのため、浅部(頭蓋)から深部(脳組織)までの全血液量が測定対象となる。そこで、本研究では光路長を短縮させるためもう1つ受光部(送光部から1-2cm程度)を増設し(頭蓋の血液量の測定のため)、1つの送光部と2つの受光部があるNIRSで測定を行った。その結果、運動中に脳の血流動態は頭部皮膚血流の影響が大きく関与していることが明らかとなった。 次に研究の2つ目として、運動野領域における機能的相補性について検討を進めた。運動時の機能的相補性に関しては同様にNIRSを用いた研究で、利き手と反対側の手を動かした際に利き手側の運動野が相補的に働くことなどが報告されている。疲労困憊時においても同様な機能的相補性が存在する可能性があった。脳組織の活動を的確に捉えた上で機能的相補性の存在とその発現条件を検証した。その結果、筋力発揮の程度を対側運動野の脳血液動態は反映していない可能性と同側運動野が最大筋力発揮時に補足的な役割を果たしている可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は最大握力発揮時の脳血液動態の測定を行いその結果をまとめることができた。また、来年度に予定していた実験を1年前倒しで着手することができデータ収集を開始した。来年度以降はデータの精度を高めるため複数回の実験を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに計画していた研究はほぼ達成できていると考えている。今後は運動中の両側運動野の活性特性について検討を深めていく予定である。その後は運動学習過程における機能的相補性の確認の実験を予定している。この実験は、運動学習の成立に伴い、一側性運動時の対側運動野の活性は抑えられる可能性が高いという仮説に基づき検証を重ねる。この実験では数ヶ月におよぶトレーニングにより、運動開始時の機能的相補性発現率が低下し、疲労困憊時の機能的相補性発現率が高まるか否かを検証する予定である。長期間に及ぶ測定が必要となるため、丁寧に実験計画を立て目標を達成したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究計画では複数回の実験を行う予定であった。しかし、初回実験において目標とする被験者の確保及びデータの収集を達成することができた。そのため、被験者及び他の研究者の人件費、実験に伴う消耗品などを抑制することができた。その結果、使用額が当初の予定より下回った。 次年度の研究計画では本年度までの研究を発展させた実験を予定している。それに伴い実験の際に必要な消耗品の購入及び被験者などへの謝礼などの人件費などが増大することが予想される。また他の研究者から研究への協力や助言など頂き研究を達成させたいと考えている。他研究者との複数回の打合せ及び予備実験などにも使用したい。このような事情から次年度の使用額が増大すると思われる。
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