2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500773
|
Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
久保山 直己 大阪商業大学, 総合経営学部, 准教授 (00412718)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 脳酸素動態 / 中枢疲労 / 最大運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動中には疲労が生じ、運動の発現レベルが徐々に低下する。疲労は突発に生じるのではなく、徐々に増大する。疲労困憊になると運動を継続することが困難になる。運動によって生じる疲労を運動性疲労と呼ぶ。運動性疲労とは運動に必要とされる力を発揮できない状態と定義され(Poortmans et al., 1968)、力の発揮に関与する神経系と筋系のシステムの両面から研究が展開されている。先行研究(Shibuya and Kuboyama, 2007, 2011)では、最大下の握力発揮を持続し疲労困憊に至る運動中に脳の活性状態が観察された。しかし、最大下運動では被験者が出来る限り運動を持続させるために発揮する握力を調節したため筋力と脳活性との関係は不明であった。最大下運動では被験者はその運動に必要とされる主要な筋群を十分に活用することができない。筋疲労中の生理学的な指標の進行的な変化を調査するためには、反復的あるいは持続的に最大筋力を発揮する運動を採用する必要しなければならない。反復的な最大筋力発揮運動では、一般的な被験者は最大努力によってその運動に必要とされる主要な筋群をほぼ十分に活性させることができる(Gandevia., 1995)。 本年度の研究は、反復の最大握力発揮運動中の筋放電量と前頭葉の酸素動態との関係を明らかにすることであった。成人男子7名は3秒間最大握力を発揮した後、3秒間の安静を50回繰り返した。運動中、最大筋力は有意に低下した(p<0.05)。筋放電量も有意に低下した(p<0.05)。前頭葉の酸素動態は運動直後に増加したが、その後徐々に低下した(p<0.05)。本研究の結果は前頭葉の酸素動態は最大筋力とは連動していないことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を遂行するための測定装置(NIRS)の購入等が研究期間の初期にできたため、研究環境を早期に整えることができた。そのため、これまでに実験を複数回行うことができデータ収集もスムーズに行えている。また本研究に対し他の研究者の協力をいただいていることもあり被験者探しおよび参加依頼も順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでの研究を下記の研究に発展させたと考える。 まずは、両側性握力運動を用いての疲労困憊時の機能的相補性の確認である。この研究では、両側性運動の場合、一方(非利き手)の出力低下に対し、対側を司る運動野(M1)が機能的相補作用を見せるか否か、それにより、利き手側の運動継続時間は短縮するのかという課題を検証したい。 次に、運動学習過程における機能的相補性の確認である。運動学習の成立に伴い、一側性運動時の対側M1活性は抑えられる可能性が高い。そのような場合、運動学習の成立に伴い、疲労困憊時の機能的相補性の発現率が上昇する可能性がある。数ヶ月におよぶトレーニングにより、運動開始時の機能的相補性発現率が低下し、疲労困憊時の機能的相補性発現率が高まるか否かを検証したい。これらのことが確認されれば、一側性運動時の運動時間延長に関するメカニズムの一部が明らかになることとなる。
|
Causes of Carryover |
本年度は予定していた実験を実施することができずに、被験者への謝礼が発生しなかったことと本年度購入した測定機器等が計画より安価だったことなどがあり、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は次年度の本実験での被験者への謝礼および実験協力者への人件費などに使用する予定である。
|