2013 Fiscal Year Research-status Report
内臓脂肪組織における免疫システムの改善を介した食品成分の食餌性肥満軽減機構の解明
Project/Area Number |
24501024
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小堀 真珠子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 上席研究員 (50353941)
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Keywords | ケルセチン / 肥満 / 内臓脂肪組織 / 免疫 |
Research Abstract |
コントロール食、西洋型食(高脂肪、高コレステロール、高ショ糖食)またはケルセチン添加西洋型食を18週間摂取させたマウスの精巣周囲脂肪組織の遺伝子発現をDNAマイクロアレイを用いて解析した。その結果、西洋型及びケルセチンにより免疫及び炎症に関わる多くの遺伝子発現が有意に変動することが明らかになった。西洋型食は、マクロファージや単球、顆粒球の遊走、増殖、活性化等に関わる遺伝子発現を増加させた他、T細胞の活性化、マスト細胞の接着性、B細胞の量に関わる遺伝子発現を増加させた。ケルセチンは、このうちマクロファージの遊走、増殖、活性化に関わる遺伝子発現及び、T細胞の活性化やB細胞の量等に関わる遺伝子発現を有意に抑制した。そこで、RT-PCR法により、マクロファージに関連する遺伝子発現を測定した結果、ケルセチンは西洋型食で誘導されるF4/80、Cd11c及びMCP-1の発現を有意に抑制することが明らかになった。また炎症を抑制するM2マクロファージのマーカーであるCD206の発現も西洋型食で誘導され、ケルセチンで抑制された。一方、T細胞のマーカーであるCD3及びCD4の有意な発現変化は認められなかった。 そこで、マクロファージのマーカーであるF4/80で脂肪組織を染色した結果、西洋型食によるマクロファージの増加を、ケルセチンが有意に抑制することが明らかになった。これらのことから、ケルセチンは主として脂肪組織におけるマクロファージの浸潤・増加を抑制すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析により、西洋型食で誘導され、ケルセチンで抑制される多くの免疫、炎症関連遺伝子を明らかにすると共に、組織染色によりケルセチンが主としてマクロファージの増加を抑制することを明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はケルセチンのマスト細胞及びCD8+エフェクターT細胞の活性化に及ぼす影響を検討する予定であったが、H25年度までの結果から、ケルセチンは主として脂肪組織でのマクロファージの増加を抑制し、T細胞バランスやマスト細胞への影響はより少ないと考えられた。そこで、平成26年度はフローサイトメーター及び組織染色等によりケルセチンが内臓脂肪組織中のT細胞及びマスト細胞に及ぼす影響を明らかにし、それらの結果に基づいて、初代培養細胞等を用いて作用機構を明らかにすることとする。
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Research Products
(1 results)