2015 Fiscal Year Annual Research Report
博物館における全天周科学映像の開発および評価に関する人文・社会学的研究
Project/Area Number |
24501275
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
松岡 葉月 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 外来研究員 (80573740)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 博物館学 / 博物館映像展示学 / 博物館教育学 / 全天周映像 / 博物館観客調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、全天周映像の特質である臨場感や没入感について、これまでに試みられていなかった博物館学的手法において調査研究を進め、全天周ドームの臨場感・没入感に影響を及ぼす要因を明らかにできた。 具体的には異なるドーム径やプロジェクター性能をもつ複数の地域の博物館の全天周ドームにおいて、博物館学的手法、つまり来館者をとりまく物理、社会、個人的コンテキストに照らし合わせ、来館者から得られたアンケートによって研究を進めた。 平成27年度は前年度までよりも、投影されるデジタル資料(星空)に対し、極めて質の高い日常経験を有する被験者から臨場感・没入感の評価を得られた。研究成果として、これまでの成果と同様に、画像精細度の高さは臨場感や没入感に部分的にしか影響しないこと、画像の精細度よりもドーム径が臨場感・没入感に影響する傾向が見られることが明らかとなった。 また、デジタル資料(星空)の日常経験の差によらず、複数の館において、ドーム経験が多い視聴者ほど、ある程度の解像度でも頭の中で無意識に投映以上の解像度に変換して映像を鑑賞している傾向や、過去に見た美しい星空の記憶と重ね合わせて鑑賞している傾向が得られた。これらの傾向から、臨場感・没入感には、来館者の心理的側面に即した調査の重要性を確認できた。これらの研究成果を博物館学の学会(全日本博物館学会,於・京都国立博物館,2015,6,28)で発表した。 さらにこれまでの研究成果に基づき、全天周映像の特質である臨場感や没入感を高める全天周映像を完成させ、完成映像は静岡県ディスカバリーパーク焼津天文科学館において春休み期間中に一般来館者に上映された。今後も千葉県の白井市文化センタープラネタリウムにおいて、 平成29年2月から4月の間に、一般来館者を対象に上映されることが決定している。
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