2013 Fiscal Year Research-status Report
老化マーカーの開発と老化制御因子の網羅的スクリーニング
Project/Area Number |
24510274
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松山 晃久 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 専任研究員 (90399444)
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Keywords | 経時老化 / リバースプロテオクミス |
Research Abstract |
本研究では、分裂を止めて静止期に入った細胞の寿命モデルである経時寿命の制御メカニズムを解明すべく研究を行っている。経時寿命の測定法は一定期間細胞を飽和状態に置いた後、新しい栄養培地に蒔いた時にどの程度の割合の細胞が再び増殖してコロニーを形成するかを調べることによって行われるため、結果を知るまでに時間がかかり、操作も面倒である。これがこの分野の研究を難しくしている原因の一つであるため、本研究では、まず細胞の老化度合いを即時に知るためのマーカーの開発に取り組んだ。これまでに我々が構築した分裂酵母の全ORFライブラリーを活かし、約5,000種類の全遺伝子産物について、経時老化に伴う発現レベルの変化をプロテインアレイを用いて測定した。昨年度に行ったこのスクリーニングの結果、コロニー形成率が1割以下に低下する時点で発現レベルが顕著に変化するタンパク質として、増加・減少それぞれについて50種類以上のタンパク質を同定した。そこで、本年度はこれらの中からさらに経時老化マーカーに適した動態を示すタンパク質を選択するため、各候補タンパク質をコードする遺伝子の3’末端に蛍光タンパク質をコードする遺伝子を融合させて発現させ、経時老化に伴う細胞の蛍光強度の変化を観察した他、ウェスタンブロットによって細胞内タンパク質レベルの変化も調べた。その結果、定常期にタンパク質レベルが増加していくタンパク質として2種類、減少していくタンパク質として5種類のタンパク質を最終候補として選択した。 一方で、定常期の培養時間に応じてmRNAの発現レベルが変化する遺伝子についてもDNAマイクロアレイを用いてスクリーニングした。その結果、細胞が飽和して増殖が停止した後、培養時間と共に発現レベルが増加・減少する遺伝子をそれぞれ多数見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タンパク質レベルの変動を元にしたスクリーニングによって老化マーカーを作製する戦略では、マーカーの最終候補を選択するにとどまり、老化マーカーとして確立するには至らなかった。しかし、新たにDNAマイクロアレイを用いてmRNAの発現レベルが変動する遺伝子をスクリーニングする戦略を取り入れたため、より理想的な振る舞いを有する老化マーカーを作製できる可能性が高くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2つの方法によって別々に得られた老化マーカーの候補について、発現レベルの増減と細胞の老化度が一番よく相関する組み合わせを選択し、実際に老化マーカーとして使用していく。DNAマイクロアレイによって同定した遺伝子については、プロモーター部分のみをクローニングし、GFP等蛍光タンパク質のORFを下流につないでレポーターとして用いる。マーカーの確立後は、遺伝子の過剰発現、あるいは遺伝子破壊と組み合わせ、経時寿命に影響を与える遺伝子をゲノムワイドにスクリーニングする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画の段階で、研究の進み具合によっては、この年度中に分裂酵母の全遺伝子過剰発現株5,000株、あるいは全遺伝子破壊株3,200株のセットとマーカー発現株を大規模に掛け合わせ、経時寿命に影響を及ぼす遺伝子のスクリーニングのための株のセットを作製する予定であったため、そのための消耗品の予算を確保していたが、大規模な掛け合わせには至らなかったために残額が生じた。 経時寿命に影響を与える遺伝子をゲノムワイドにスクリーニングするために、全遺伝子の過剰発現および破壊株のセットを用いて大規模に掛け合わせを行って株のセットを作製するため、大量の菌株を用いた掛け合わせ操作、および作製される5,000株以上の菌株の維持のための培地用の試薬、およびシャーレ等のプラスチック製品の購入に使用する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Cross-species protein interactome mapping reveals species-specific wiring of stress response pathways.2013
Author(s)
Jishnu Das, Tommy V. Vo, Xiaomu Wei, Joseph C. Mellor, Virginia Tong, Andrew G. Degatano, Xiujuan Wang, Lihua Wang, Nicolas A. Cordero, Nathan Kruer-Zerhusen, Akihisa Matsuyama, Jeffrey A. Pleiss, Steven M. Lipkin, Minoru Yoshida, Frederick P. Roth, and Haiyuan Yu
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Journal Title
Science Signaling
Volume: 6
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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