2012 Fiscal Year Research-status Report
近世琉球和文学の考究および沖縄版「伝統的な言語文化」としての教材化
Project/Area Number |
24520220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
萩野 敦子 琉球大学, 教育学部, 教授 (90343376)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 伝統的な言語文化 / 沖縄の国語教育 |
Research Abstract |
4か年の研究の1年目となる当該年度は、主として沖縄における「伝統的な言語文化」の教材化について手だてを考え、提言を幾つか活字にした。それは、平成20年から21年にかけて小・中・高等学校と相次いで改訂された学習指導要領に基づく新しい教科書が、平成23年・24年・25年と順次学校現場に導入され、教育学部所属の教員である研究代表者としては、国語教育専修の同僚たちとともにそれに対応する発言をしておく必要があったためである。それらは具体的には、2本の論考と3本の実践提案として活字にした。 ○単著論文:「伝統的な言語文化」と地域-国語教科書の実際と沖縄における学びの可能性(『沖縄から考える「伝統的な言語文化」の学び論』/出版助成を得て2013年度内に渓水社より刊行予定)、単著論文:「教材研究・教材開発の視点」(『教師が学び生徒が活きる 国語科授業づくりの視点と実践 中学・高校版』/沖縄タイムス社) ○単著論文(中学校向け実践提案):「古典の和歌を本歌取りしよう」(2に同じ)、単著論文(中学校向け実践提案):「古典芸能の世界をのぞいてみよう」(2に同じ)、単著論文(高等学校向け実践提案):「故事成語を古文説話にしてみよう」(2に同じ) これらは、沖縄の国語教育の現在と現行の学習指導要領の「伝統的な言語文化」を児童生徒に親しみやすく根付かせようとする企図とをにらみあわせて、いかなる実践が可能かを考えたものである。 これらの論考・実践提案は、今後3か年にわたり継続してゆく本研究の土台となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主として二つの理由による。 ・教育学部国語教育専修の同僚たちと共同で、沖縄県の国語教育に対して、現行の学習指導要領を踏まえた今後のありかたについての提言をまとめることが、研究の中心となったため、個人研究としての当該研究にかける時間が取れなかった。ただし、この成果は、当該研究の土台となるものであり、決して別のもの・無駄なものではない。 ・教育学部の教育・研究企画委員会副委員長に任じられたほか、全学の委員を務め、また、離島で展開する教育活動や学校現場と連携した教育活動など、学内外での活動に多くの時間を割かれた。
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Strategy for Future Research Activity |
主として次の三点の研究・調査を行う。 〔A〕近世琉球の擬古文物語『雨夜物語』『恋路之文』の基礎的研究 ①写本をもとに本文の整定を行う。②語釈はもちろん、日本の古典文学および先行する平敷屋朝敏作品からの影響関係を意識しながら注釈を付す。③学生・生徒などに読まれることを意識して現代語訳を付す。 〔B〕近世琉球の和歌文学の探究 ①『沖縄集』『沖縄集二編』収載の和歌=約1500首につき語彙索引を作成する。②近世琉球和歌の語彙・表現面の特徴を探る。③日本の和歌文学からの影響を探る。 〔C〕沖縄版「伝統的な言語文化」の教材化 ①平敷屋朝敏の擬古文物語を中・高校生向けに教材化する。②『雨夜物語』『恋路之文』を大学生の講義テキスト化する。③近世琉球和歌を中・高校生向けに教材化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として下記に使用する予定である。 ・学術図書の購入 ・高等学校「国語総合」教科書ならびに参考資料(今年度より改訂されたため) ・関連する内容の研究会への出張 ・プリンタ
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Research Products
(4 results)