2013 Fiscal Year Research-status Report
直示と指示・照応の面から見たドイツ語指示表現の研究
Project/Area Number |
24520470
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 光演 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (90182790)
|
Keywords | 指示表現 / ドイツ語 / 日本語 / 直示 / 意味論 / 統語論 / 指示照応 |
Research Abstract |
本研究は、ドイツ語の指示表現である指示詞(dieser等)、定冠詞、人称代名詞に着目し、それらが発話状況やテクストにおいて持つ意味・機能の共通性及び相違を分析し、それらを日本語や英語の指示詞の意味・機能と比較することを目標とする。 今年度は、ドイツ語の先行研究における直示・指示・照応表現の取り扱いを検討し、先行研究の問題点を抽出した。特に、文脈指示における照応機能について着目し、考察した。並行してWebや新聞・コーパス等で例文を集めて分析し、新聞・雑誌などテクスト種類による用例分析を行い、英語とドイツ語の指示表現の比較を行った。また、ドイツ語指示詞(dieser, jener, 定冠詞指示用法der/das/die )と英語指示詞(this, that)、日本語指示詞(「これ、それ、あれ」)を比較した。 この分析については、学術論文「現代ドイツ語における指示代名詞 der/das/dieの特徴について」(吉田 2013)としてまとめた。また、ドイツ語の文形成との関連で共著論文集に論文(分担)を掲載した(森芳樹編、森芳樹、吉田ほか 2013)。また、ドイツ語と英語指示照応表現の比較に関するテーマについて、溝田・吉田(2013)が広島独文学会で、Mizota and Yoshida (2013)が北大国際ワークショップで口頭発表した。また、直示表現と言語理論(普遍文法理論と意味論、統語構造と指示的意味の相互作用)との関連で、日本独文学会シンポジウム "Linguistische Sprachphilosophie: Auseinandersetzung mit Sprache aus Sicht der Linguistik"(代表:田中愼) において 、Yoshida (2013)が "Universalgrammatik als Schnittstelle zwischen der syntaktischen Strukturbildung und der situationsgesteuerten Erkenntnisbildung"の題目で発表し、言語哲学的考察を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツ語の指示詞dieser, der 等の分析について、研究論文として1本公表した。また、口頭発表においても英語・ドイツ語の照応表現の比較と、言語理論的研究について研究発表を3回行い、おおむね順調に計画を達成した。ただし、ドイツにおいてアンケート等の調査研究を行う計画を立てたが、データの分類と整理に若干時間がかかり、本格的な海外調査自体は次年度に持ち越すことになった点は、若干遅れている(しかし、前年度には海外研究者との聞き取り調査も行っているので、これから取り戻すことは可能である)。
|
Strategy for Future Research Activity |
ドイツ語・英語・日本語の指示表現についての、これまでの先行研究を包括的に検討し、問題点を整理することによって、統語的・意味的・機能的な論点をまとめていく。 また、ドイツにおいて、聞き取り調査、アンケート等の調査研究を行い、日本語とドイツ語の比較を実証的に行う。これについては、学会等で発表する予定である。また、口頭発表として行った研究は、学術論文としてまとめて、論文集、雑誌等に投稿する予定である。 また、今後、この間の名詞の意味論の研究の成果を学術書としてまとめていきたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画として、ドイツでドイツ語の指示表現に関して聞き取り・アンケート調査を行う予定であったが、データ分類・分析に時間がかかり、アンケートを行うための問題整理が十分に出来なかったため(書籍購入、データ分析・分類のための謝金等の経費がかかり、海外旅費を執行できなかった)。 1)データ分類・分析をまとめ、アンケートを行うための問題整理を十分行う(データ分析のための整理)。 2)ドイツでの聞き取り・アンケート調査を行う(海外旅費を執行する)。
|
Research Products
(7 results)