2014 Fiscal Year Annual Research Report
DVD字幕多言語データベースによる再帰的要素の統語的・語彙的研究
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24520554
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
長谷川 宏 専修大学, 法学部, 教授 (90208497)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再帰代名詞 / 束縛 / ミニマリストプログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
再帰代名詞などの再帰的要素の束縛(binding)と、再帰的要素の持つ統語的・語彙的性質の、新たな分析の可能性を追求した。従来の再帰代名詞の移動分析をミニマリストプログラムの枠組みでとらえ直したHasegawa (2000)の移動分析と、AGREE(一致)のメカニズムを発展させたHiraiwa (2001)のMULTIPLE AGREE(多重一致)を再帰代名詞束縛に応用したHasegawa (2005; 2009)・Chomsky (2005; 2007)の分析とを融合した、hybrid(混成)分析の妥当性・応用の可能性を、多様な言語データに基づき検証した。 映画等のDVDソフトウェアなどから、再帰代名詞・再帰的要素を含む言語データを収集し、英語を中心に様々な言語の再帰的表現のデータベースを作成した。 そのデータベースを元に、再帰的性質をもつさまざまな要素の統語的・語彙的性質について、再帰的要素の混成(hybrid)分析を採用することにより、従来の移動分析や一致のみを用いる分析と比べて、より広範なデータをカバーしつつ自然な説明を与えうることを論証した。 このような再帰的要素の混成(hybrid)分析に基づいて、語彙部門(lexicon)において再帰的要素を含む派生語が示す語彙的性質を解明する可能性を検討した。また、再帰的要素がかかわる語彙部門と統語部門との相関関係、および統語部門と音声部門・意味部門とのインターフェイスを通した相互作用についても、移動と多重一致が段階的・複合的に適用されると考えることで新たな提案を行い、ミニマリストプログラムにおける各部門の相関関係について、従来とは異なる知見を提示することが可能となった。 この研究成果は、平成27年度中に論文の形で発表する予定である。
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