• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

移民と国民統合の歴史における米仏比較

Research Project

Project/Area Number 24520842
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionChuo University

Principal Investigator

松本 悠子  中央大学, 文学部, 教授 (30165914)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2016-03-31
Keywordsアメリカ合衆国 / フランス / 移民 / 国民統合 / 人種
Research Abstract

アメリカ合衆国とフランスは、ともに「自由」、「平等」、「民主主義」といった「普遍的」といわれる理念を国是として、19世紀以降、国民国家としての歴史を紡いで来た。しかしながら、両国の国民統合の理念と実際のありかたはこの二世紀の間に大きく異なっている。それはなぜか、またどのように異なるのかという問題設定をもとに、両国の国民統合の比較史を試みるプロジェクトを始めた。既に在外研究および中央大学特定課題研究費によって、両国の移民博物館の比較や現代社会における移民への対応の違いに関する資料を収集し、論文を発表している。科研費第1年目の平成24年度は、これまでの成果を検証しながら、より歴史的に比較する定点を定めるための資料収集と分析を行った。二次文献等の分析により、20世紀初頭から第一次大戦期にまでさかのぼる必要が明らかとなった。というのも、この時期は、アメリカ合衆国では、「白人/黒人」の隔離が南部で明確になる一方、アジアからの移民を迎えて、アメリカ人とは誰かが問い直される時代であった。その具体的なあり方を探るために、平成24年の夏には、アメリカ合衆国の国立文書館サンフランシスコ分館を訪問し、太平洋側の移民の入国地点てあるエンジェルアイランドの資料を収集した。その成果の一部は、『アメリカ史研究』の論文とアメリカ史学会の報告で明らかにした。一方、フランスでは、第一次大戦中、植民地の兵士、中国人労働者等を大量に入国させた。フランス人が日常生活の中で大量に人種の異なる人々と初めて接触し、フランス人としてのアイデンティティが考え直される契機となった。さらに、アメリカ軍の駐留を受け入れることによって、アメリカ合衆国の人種関係を目の当たりにしたのである。平成25年の3月にはパリのヴァンサンヌにある陸軍文書館を訪問し、陸軍の残した資料を収集し、分析を開始した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

最終的には、現代社会における国民統合や人種に関する考え方の比較を行うことが目標だが、歴史研究としては、さかのぼってその源を明らかにしなければならない。しかしながら、国民統合やナショナリズムに関する比較史は、長期にわたる視野と多様な側面とその関係性に関する膨大な情報の集積が必要であり、個人の研究では、その全体像をすべて把握することは困難である。したがって、大きな枠組みを作りながらも、実際の研究としては、最も有効に比較史を語るために、どのような時代と歴史対象に焦点を当てるかの模索から始めた。平成24年度は、その比較の定点を明確にするという点に集中した。その結果、第一次大戦期の国民統合とナショナリズムが人種関係のあり方と深く関連しているこが明確になり、多くの資料を収集することができた。平成25年度にすべき資料の分析と更なる資料収集の方向性が明確になったという意味で、平成25年度に向けて研究を加速する状況を作ることができた。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策としては、大きくわけて二点ある。第一は、第一次世界大戦前後の時代の米仏の比較史を人種関係のあり方にしぼって行うことである。第一次世界大戦という初めての国民総動員の危機にあった両国では、多様なレベルで、国民の統合と排除の境界作りが行われていた。その際に、両国に共通する理念がどのように作用したかを考える。第二の方策は、第一次大戦以後、両国でどのように国民統合と人種の関わり歴史が作られていくかを、いくつかの更なる比較の定点を模索しながら考えて行くことである。第二の方策に関しては、未だ未知数の部分が多いが、移民の歴史をたどって行くことによって、明らかになるであろうと予測している。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成25年度には、まず、第一次世界大戦前後の米仏両国における国民統合の歴史の比較を集中的に行う。平成24年度には、学会関係の仕事等で、長期の休みを有効に利用できなかったために、海外旅費として予定していた研究費が使い切れず、繰越金となった。また、大型資料の購入を予定していたが、これも平成24年度に実現しなかった。したがって、平成25年度には、24年度の繰越金とあわせて資料の収集のための海外出張、大型資料の購入を計画している。同時に、今後の研究の推進方策の第二の方策に関する方向性を明確にするために、英仏両国の二次文献を広く購入し、最新の研究状況をふまえた方向性を具体化したい。

  • Research Products

    (2 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 第一次世界大戦とシティズンシップ――国民総動員という危機2012

    • Author(s)
      松本悠子
    • Journal Title

      アメリカ史研究(アメリカ史学会発行)

      Volume: 35号 Pages: 3-20

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] racismとracisme-20世紀前半のシティズンシップと人種に関する米仏比較

    • Author(s)
      松本悠子
    • Organizer
      アメリカ史学会
    • Place of Presentation
      一橋大学
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi