2013 Fiscal Year Research-status Report
テール・リスクと世代間衡平性:公理主義的アプローチ
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24530192
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
篠塚 友一 筑波大学, 人文社会系, 教授 (40235552)
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Keywords | 世代間衡平性 / テールリスク |
Research Abstract |
重複世代モデルの効率性と衡平性の両立性に関するShinotsuka, Suga, Suzumura and Tadenuma(2007)の研究結果と密接に関連するDubey(2010)とIsaac and Piaquadio(2013)の比較検討を行った。Shinotsuka, Suga, Suzumura and Tadenuma(2007)の重複世代モデルでは、すべての世代を対称的に扱うため時間を「二重に無限」に扱ったのに対して、Dubey(2010)は時間を0以上の整数として扱い、効率性と衡平性の両立性が歴史的に与えられる第1期の若い世代の消費に依存することを明らかにした。Dubey(2010)の得た結論が時間の取り扱いの差に由来することを、我々は明らかにした。Isaac and Piaquadio(2013)は、Shinotsuka, Suga, Suzumura and Tadenuma(2007)が採用した無羨望としての衡平性に代えて、消費配分が平等な資源配分と同程度望ましいことを要請する。この公理を均等分配保証と言う。Isaac and Piaquadio(2013)は、効率性と均等分配保証は両立可能だが、均等分配保証以外の衡平性の要請は効率性と両立しないと主張する。この主張は、Shinotsuka, Suga, Suzumura and Tadenuma(2007)が発見した重複世代モデルにおける効率性と衡平性の両立性に関する不可能性からの脱却する方向を示唆しているが、論証が不十分な点が残されているように思われる。Dubey(2010)とIsaac and Piaquadio(2013)のモデルに初期賦存量を確率変数とすることで、彼らが得た主要な結論がどのように変わるかという問題が、将来の研究課題として残されていることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メインプロジェクトを補完する第一サブプロジェクト「無限効用流列の社会的評価基準」は、重複世代経済における資源配分の社会的望ましさを比較評価する基準が構成可能かという問題の基礎なす。この分野の研究は、Asheim、Alcantud、Banerjee、Dubey、Mitraなどの先端的研究者が精力的に研究を行っている。これらの研究成果を咀嚼し、Shinotsuka(1998)やHara,Shinotsuka,Suzumura nad Xu(2008)で得られた研究成果との関係を解明することに研究の重点を置いた結果、メインプロジェクトの研究に十分時間を割くことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
メインプロジェクトを補完する第一サブプロジェクト「無限効用流列の社会的評価基準」は、重複世代経済における資源配分の社会的望ましさを比較評価する基準が構成可能かという問題の基礎なす。この分野で最近注目されているのは、Koopmans(1960)の公理化した非耐忍現象(impatience phenomena)を世代間衡平性の公理として採用するアプローチである。Banerjee and Mitra(2007)を嚆矢として、Banerjee and Dubey(2013)、Alcantud and Dubey(2014)など、先端的研究者たちによる研究成果が矢継ぎ早に得られている。特に)、Alcantud and Dubey(2014)はShinotsuka(1998)を引用している。これらの研究成果とShinotsuka(1998)の関連を検討することが今後の研究課題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額19,675円については、3月に購入した研究資料の費用として支出が確定している。 既に支出先が決まっているため平成26年度における使用計画はない。
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